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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 120. 喜劇 団体列車

1967年11月 東映 製作 公開  カラー作品   監督 瀬川昌治

喜劇 急行列車に続く東映製作の列車シリーズ第二弾。四国を舞台に国鉄駅員 山川彦一(渥美清)が、助役試験と恋愛成就を目指すコメディー映画です。

冒頭 山川が自宅から自転車で国鉄 仁堀航路乗り場らしきの前を通って勤務地 伊予和田駅(架空駅)へ向かいます。構内の案内板からも予讃本線 堀江駅と思われます。
そして松山方向から C58 333蒸機に牽かれた7両編成の上り列車が到着し、山川が「伊予和田~」と連呼します。その後急いで学生中心客の改札もこなします。
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今では考えられない7両編成の列車は、朝の通勤通学時間帯ならではですね。当時のダイヤから見ると、堀江 8:01発の伊予北条行 2122ㇾ普通列車かと思われます。
C58 333機関車は戦後一貫して四国内で活躍、準急いよ号の先頭で牽いたこともあったとか。1970年に廃車となりましたが、準鉄道記念物として多度津にて保管されています。

そして山川はこの列車の車掌から迷子の子供を託されます。「お城の近くに住んでいる」との話から松山で捜しますが、宇和島と分り山川が連れて行きました。
その宇和島駅で子供の母親 志村小百合(佐久間良子)が駅事務室を尋ねる場面で、背後に2両だけ存在した変った風貌の改造DC キニ15が前面補強前のノッペリとした姿で停車しています。
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子供の面倒を見た縁から小百合と知り合いになった山川は、小百合が教師をしていることから助役試験の勉強を見てもらい熱を上げます。
しかしその子が二次試験の前日に熱を出し、徹夜で看病した山川は六時の鐘の音を聞いて急いで宇和島駅へ駆け付けますが目当ての列車に乗り遅れてしまいます。
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この列車とは 6:03発の 102D 高松行の急行第一せと号と思われます。次の列車は 6:37発の 116D 高松行 急行うわじま1号なので、試験のある松山に 8:45 到着で会場に3分遅れで着いたのでしょう。

次に伊予和田駅主催の団体旅行が開催され、小百合親子や山川の見合い相手 日高邦子(城野ゆき)も参加して世話やき係の山川は大忙しです。
四国一周の旅なのでネコヒゲ キハ 58系が丸型 H M を付けて海辺を走る急行をはじめ、
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団体旅行用とは思えないキハ 20系に 国鉄バスで二代前の高知駅前を通るシーンもあります。
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更に通常塗装のキハ 58系急行気動車の走行シーンが有り、
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車内では山川達が弁当とオロナミンCを配る場面もあります。徳島では夕方 小百合の子が行方不明になってしまいます。
線路端を捜すと、愛用の玩具が落ちています。先へ進むと、線路内を歩いています。前方からは蒸機列車が汽笛を鳴らして近付いて来ます。間一髪 山川が抱えて助けることができました。

場所柄 徳島本線か牟岐線・高徳本線の何れかでしょう。ところが、短笛連鳴の直後にアップで映ったのは 49613 蒸機の顔で、次のカットでは薄暗いながらも 8620形のボディと足回りと思われます。
徳島なので 8620形は分りますが、四国に一度も配置されなかった 9600形のアップ映像を何故差し込んだのでしょう。迫り来る列車の迫力を盛り上げる為、川越線で後から撮って加えたのでしょうか?
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