日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 118. 宇宙大怪獣ドゴラ

1964年8月 東宝 製作 公開  カラー作品   監督 本多猪四郎

炭素を好むクラゲの様な触手を持ったアメーバー状の巨大な宇宙大怪獣ドゴラが産炭地を襲いますが、意外な小生物にやられてしまう東宝怪獣映画シリーズでは異色の S F 映画です。

東宝怪獣映画と鉄道というと、「ゴジラ」の品川界隈・「空の大怪獣 ラドン」の西鉄福岡駅・「キングコング対ゴジラ」の特急こだま号などが浮かびますが、何れもセット撮影とミニチュア特撮です。
この映画では珍しく実写の鉄道シーンがあり、筑豊の産炭地で石炭を吸い上げるドゴラの調査に宗方博士(中村伸郎)と秘書の桐野昌代(藤山陽子)が東京から特急さくら号で現地へ向かう場面であります。

東京駅 15番ホーム ドゴラが北九州方面で暴れている為この方面への旅行をなるべく中止するよう放送が流れる中、停車中の 20系ブルートレインへ向かう人々の姿が映ります。
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続いて車内。個室らしきシートに宗方と昌代が向い合せで座り、昌代の隣に兄 桐野(小泉博)が座って現地へ行くのを中止要請しています。しかし発車ベルが鳴り始めたので諦め昌代に宗方のことを頼んで立ち去ります。
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この個室は20系では3両だけ製造されたナロネ20形にだけあった二人用個室で、特急あさかぜ号限定で連結されました。品川客車区で予備編成を使ってロケし、窓から見える横須賀線は車窓合成したのではないでしょうか。
本編では九州特急一番手の さくら号で出掛けた設定ですが、さくら号の個室は一人用ルーメットしかありません。しかし道中も宗方博士が本か書類を読んでいる場面があるので、一等寝台でも広い二人用個室を使ったのでしょう。

それでもこの個室 ベット方向長1990×幅1470ですから現在の北斗星にある二人用 A個室の様にゆとりは無く、画像の様に宗方博士が座っている位置に机替りにもなる洗面台はありますがイスはありません。
想像するにセット撮影でなければ 4室あった二人用個室の内 デッキ側の13番と14番室の間仕切りが開き4人用として使えたので、開けた状態で小さなイスを置き13番側から斜めに14番側の役者を撮影したのでは?


やがてEF60506 電機に牽引された特別急行さくら号が東京駅を発車して行きます。
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次の夕闇迫る走行シーンでは EF60503 が映っています。EF60-500番台が2年程の短期間しかブルートレインを牽かなかった時期の撮影です。
続いてナロネ20の一人用個室側から通路をマーク・ジャクソン(ダン・ユマ)が歩いて来て、通路に出た昌代と鉢合わせします。一人用個室区画では通路は中央なので、カギ型に曲がっていて、マークの背後には冷水器があります。
そして宗方博士の部屋に入り、乗車目的をお互いゴマカして挨拶するのみで立ち去ります。この時カメラは洗面台方向から出入り口扉側を映し、隣室との間仕切りと開放操作用取っ手が映っています。
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次に喫煙室側から食堂車に入ろうとしたマークは浜子(若林暎子)呼び止められます。アクリルのドア越しに食堂内の様子が見えます。1963年製造のナシ20形食堂車からアクリルドア化したので新車の様です。
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その後上記 EF60503の走行シーンの続きの様な 20系通過シーンがあり、ラストは半室展望車のナハフ 20 かナハネフ 22 が「さくら」の行燈表示も鮮やかにトンネルへと去り行きます。
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当時のダイヤで「さくら」は東京駅 16:04入線し優雅に31分間佇み 16:35に発車すると、小倉に停車しないので 8:12到着の門司で二人は降り筑豊へ向かったと思われます。
牽引機は東京ー EF60 EL ー広島ー C62 SL ー下関ー EF30 EL ー門司ー ED73 EL ー博多ー C60 SL ー長崎と蒸機牽引最終期でした。終着長崎には 12:28 の到着で所要 19時間 53分です。

20系の編成はカニ22電源荷物車に続いて個室・開放合造一等寝台車ナロネ221両・一等車1両・二等寝台車10両・二等車1両の15両で博多まで走り、ここで後ろ半分を切り離し8両で長崎へ向かいました。
その後翌年には半分を佐世保行として編成。1972年には新しい 14系寝台車に置き換えられましたが、新幹線博多延伸後はしだいに乗車率が低迷し 2005年3月に廃止となりました。








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