日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 110. なにはなくとも 全員集合

1967年8月 芸映プロ製作 松竹配給公開   カラー作品   監督 渡辺祐介

温泉客の輸送をめぐって ローカル私鉄の新任駅長と新興バス会社の営業所長の会社をあげての張り合いを描くコメディ映画で、ザ・ドリフターズの全員集合シリーズ第一作です。

ローカル私鉄 草津高原鉄道(架空)草津駅に
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新任の駅長が来ることになり、駅員たちは緊張して到着を待っています。そこへ電車が近付いたので、一同 整列して待ち受けています。
やがて国鉄 40系電車と思しき2連が到着します。
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前面の行先表示板入れには何も無く、駅員の加藤登(加藤茶)が「くさつ~」「くさつ~」と叫びながら同僚の仲本幸助(仲本工事)と共に駅長の姿を捜しています。

続いては、山間部を走る 40系電車の様子が映った後、草津駅に白坂栄造駅長(三木のり平)の家族が到着します。ホームに降りた家族3人は白坂の後ろ姿を発見します。
白坂の妻 政子(丹阿弥谷津子)・娘 悦子(中尾ミエ)・息子 勇(高塚徹)は後ろから近付き脅かしますが、白坂は動じず去り行く電車の後方確認をしています。

コメディらしい場面としては中盤 酒に酔った大工がホームに寝転んでいるのを白坂駅長が見つけ、
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抱え起こそうと揉み合う内に白坂だけが大工道具を持って電車に乗ってしまい発車してしまったのでした。
騒ぎに気付いた加藤と仲本がホームへ駆け付けた時には、酔った大工が駅長の旗を持って座り込み「駅長~何処へ行くんだ~」などと声をあげています。白坂は窓から困惑した顔を出してホームを見るだけです。
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その後 白坂の娘 悦子とバス会社の運転手 新川が付き合い、双方の反対を乗り越え結婚することになりました。ラストシーンは草津駅から二人が草津高原鉄道で新婚旅行に出発する場面です。
先ず結婚式に参列の人たちと共に、二人は草津駅改札を通ってホームへ入って来ました。そして到着した電車に乗り、窓を開けて挨拶を交わす中 発車して行きました。
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加藤一人が未練がましくホームを走りながら「早く別れて戻ってきてくれ」などと叫ぶ中、白坂駅長は直立不動で敬礼 皆は手を振りながら見送り この映画は終わります。

この作品の撮影は草津温泉にやや近い、国鉄長野原線(現 吾妻線)の群馬原町駅を使って行われたそうです。ローカル私鉄という設定なので、ゲタ電 40系なのでしょうが架線柱がいやに新しいですね。
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それもその筈で、長野原線は 1967年5月末に電化工事完成し7月1日電化開業したばかりなんです。映画公開が8月5日ですから、習熟運転中に行先板を出さないロケ用電車を走らせたのかもしれません。

長野原線は1956年に客車のDC化が行われた後も80系電車をC58が牽く上野直通便を走らせました。また電化直前の6月24日まで上野からの週末準急白根が渋川~長野原をC11蒸機が旧客を牽く9517ㇾが走っていました。
この様にちょっと変わった長野原線ですが、電化当初はいた 40系・70系も165系と近代化されゆく中 1971年3月には大前までの延伸開業と同時に吾妻線と改称され現在に至っています。

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