日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 105. 妻と女記者

1950年4月 新東宝・藤本プロ 製作  東宝 配給公開   監督 千葉泰樹

復員し大学の研究室に通う 矢代宏司(伊豆肇)が、妻 孝子(山根寿子)と自分の両親が同居する家に知り合いの妹 吉崎文枝(角梨枝子)を下宿させたことから起る一騒動を描いたホームドラマ風の映画です。

先ず矢代が横須賀線で、鎌倉駅へ帰ってくるシーンがあります。四角錐の尖がり屋根の鎌倉駅が映りますが、この部分は1984年に現在の3代目駅舎に改築された際 西口広場へ保存されています。
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ホームへ 63系の電車が満員の乗客を乗せて到着し、矢代が降りて来ました。そして大きな荷物を持った客とホームから小競合いしながら、改札で待つ妻の元へ出てきました。

次に夜の鎌倉駅ホームで矢代と文枝が話すシーンがあります。文枝が借家から立ち退きを迫られ 矢代が自家への下宿を思いつく場面ですが、背景からセット撮影の様にも見えます。
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ホームの柱には、「躍進する小田急 ニュールックロマンスカー毎日運転」の文字と共に 1910形特急の姿が描かれたポスターが貼ってあります。
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騒動が一件落着し、矢代と妻 孝子はあらためて新婚旅行へ出掛けることになります。そして上記のポスターと同じ多摩川の鉄橋を渡る 1910形(後の 2000形)ロマンスカー3連の姿が映ります。
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続いて車内のシーンがあり、二人が先頭車両最後部にある白布が掛けられたロングシート部分に座っています。セミクロスシート3連なので、画面では続く中間車のクロスシート部分が見えています。
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矢代は足を組んでいますが、ロングシート部分故に足元はゆったりとしています。傍らには床に固定した灰皿が設置してあり、妻が持つライターで煙草を吸って寛いでいる様子です。
この 1910形は初代ロマンスカーとも呼ばれ、戦後初の新車として登場 現在に至る小田急電鉄のシンボルとなりました。また中間車に喫茶スタンドが設置され、飲み物のシートサービスも行われたそうです。

1949年9月17日に毎日運転のノンストップ特急として登場した 1910形ですが、1951年2月1日には二人掛け転換クロスシート装備の本格的ロマンスカー 1700形が投入され短命に終わりました。
その後 特急予備車を経て3扉化され一般車として活躍した 1910形なので、本編に映っている華やかな車内シーンは貴重な記録と言えるでしょう。

ラストシーンでは、鎌倉駅ホームから矢代達が 63系電車に乗って行く場面で終わっています。
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コメント


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KAMAKURA

KAMAKURA と言う表記のあるお洒落な駅を見上げるシーンが印象的ですね。青空に雲が浮かび流れて行く…。千葉泰樹監督のこのホームドラマ、満員列車のコミカルなシーンで始まり、一波瀾あってラストに戦争で行けなかった新婚旅行へ夫婦仲良く旅立つロマンチックなシーンで幕を閉じる…。鉄道のシーンや海辺のシーンなどロケシーンの美しさも印象的でした。

PineWood | URL | 2016-04-06(Wed)01:07 [編集]


Re: KAMAKURA

PineWood 様 コメントありがとうございます。

妻と女記者は野外ロケが多く、当時の貴重な記録としての価値もあると思います。

夜の鎌倉駅ホームでの場面はセット撮影では?と書きましたが、PineWood 様の眼にはどのように見えましたでしょうか。

テツエイダ | URL | 2016-04-08(Fri)22:28 [編集]