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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 9、 大冒険

  1965年10月 東宝 渡辺プロ 製作  東宝配給  カラー作品    監督 古澤憲吾

 クレージーキャッツ結成10周年を記念して制作された、コメディ調 アクション映画。

 雑誌記者の植松唯人(植木等)は友人 谷井哲介(谷啓)の妹 悦子(団玲子)が好きだが、ひょんなことからニセ札組織に付け狙われ 悦子が拉致されてしまう。
 悦子の奪還を目論む植松。その植松を追うニセ札組織と警察。追跡劇は東京から名古屋、関西へと続いた。

 鉄道シーンは 先ず組織に追われた植松が車の屋根に乗り、渋谷宮益坂上交差点を通るとき都電10番の車両が映る。

 また東海道本線の鉄橋上では危うく80系湘南電車に轢かれそうになり、枕木にぶら下がり難を逃れる。9-1.jpg


 そして組織の殺し屋から馬で逃げる途上、踏切で混合列車を見てこれを追いかけ乗り移ります。舞台は愛知県の設定ですが、先頭で牽引するのは、関東鉄道8号蒸気機関車である。このSLは1924年汽車会社製で撮影時は既にDLの予備機として、たまに火が入り水海道区の構内入換をする程度で 撮影のため久々の本線走行であったと思われます。
9-2.jpg


 次位にエキストラを乗せた2両の古典客車が連なり、無蓋車 緩急車と続いています。 この緩急車の側面には屋根まで続く梯子が撮影用に取り付けられています。 これを使って馬から乗り移り、屋根に上がる訳です。
 植松は緩急車の上から悠然と手を振り警察官達の前を通過して行きます。9-3.jpg


 関東鉄道のSLは関東のローカル私鉄としては最後まで活躍したことで有名です。常総線ではこの8号機が撮影翌年の1966年4月に火が入った記録があり、竜ヶ崎線ではDLの予備機ではありますが1970年まで動いていました。

 
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コメント


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8号蒸気機関車について

はじめまして。
麻布田能久の田沼久太郎と申します。

Facebookの方で「この馬と蒸気機関車の場所はどこだ???」と散々盛り上がっていました。
この前のシーンが東海道本線の揖斐川橋梁でしたので、近場のローカル線ではと探していた矢先に見つけたサイトに
「谷さんの映画ではクレージーキャッツ結成10周年記念映画「大冒険」が印象に残っています。 -中略- 家内の実家である岐阜県大垣市でのロケが登場するのです。その中に、揖斐川鉄橋での列車シーンや、美濃赤坂駅からの西濃運輸の専用線での列車大追跡シーンが撮られました。当時はB6という小型蒸気機関車が映画にふんだんに登場しています。」
とありましたので、西濃鉄道を調べてみました。
沿線の雰囲気は何となく似ているんですが、B6という蒸気機関車が全く似ていません。
そうこうしてるうちに貴殿のブログに出会い一件落着しました(笑)

撮影は関東鉄道と理解してよろしいですよね?実は揖斐川付近を走っていた愛知ナンバーの黒塗りのトヨペットとパトカーがこのシーンでも写ってます。東名高速も整備されてない時代に岐阜から茨城まで移動するのはかなり無理があると思ってましたのど・・・・・

それにしても素晴らしいブログですね。今後も参考にさせていただきます。

長々と失礼いたしました。

田沼久太郎 | URL | 2014-01-24(Fri)16:57 [編集]


Re: 8号蒸気機関車について

 田沼様 お尋ねの件ですが、関東鉄道常総線で撮影されたことは 95%間違いないと思われます。
8号機関車は元より、続く客車が電車からの改造車で関東鉄道で使っていた床下にターンバックルが付いた車両に似ています。

 この「大冒険」は馬から列車への乗り移りシーンの為に緩急車に梯子を取り付けたり空撮を行ったりと予算的には余裕があった様ですが、当時売れっ子のクレージーキャッツはスケジュールに余裕が無い様でした。

 それ故 新幹線で名古屋に着いたシーンではホームを歩く背後に東京駅丸の内駅舎の三角屋根が映っていたり、神戸での場面でも明らかに横浜のマリンタワーや山下公園が映っていたりと監督の遊び心かな?とも考えられます。
 撮影用劇用車を愛知県警と塗ったり、愛知ナンバーに替えたりすることは朝飯前でしょうから揖斐川の木柱も偽装作かもしれません。

 小生のブログ (カテゴリー東海道本線)の中の{ 51,黄線地帯}では東京駅のホーム柱に堂々と(こうべ)と札を取り付け丸の内駅舎が映ろうと気にせず神戸駅到着シーンとしています。

 

テツエイダ | URL | 2014-01-25(Sat)16:26 [編集]


管理人殿

ご連絡ありがとうございます。

この場所は常総線ですよね?ピンポイントで特定しようと思いましたがかなり難しいですね。周辺は田んぼではなく畑のように見えました。1960年代空撮で追ってみましたが、時間がかかりそうです。

昨年、揖斐川橋梁で現地調査してきました。「揖斐川」の木柱の場所ですが、現地で間違いないと思います。ただ植木さんが馬に落ちた場所は少し上流の平野庄橋と判明しました。鉄道橋ではなく人車用です。これは少し前に植木さんがヤギを乗せたトラックの荷台に乗り橋を渡るシーンがありましたが、これと同じ橋です。

現在以下の鉄道施設を探しています。ご存知でしたら教えてください。
①三等重役で東京へ出張する河村黎吉と森繁さんが電車に乗った南海駅ホーム。続編では駅舎が伊豆急の伊東駅でした。
②三等重役で南海商事東京支店横を走るガード。
③坊っちゃん社員で小林桂樹が降りた南海駅。大仁駅ではないかという情報あり。
④坊っちゃん社員で退職した伊藤雄之助を見送った駅のホーム。表示は南海駅となっています。

以上お手すきの時で結構ですので、よろしくお願いいたします。

田沼久太郎 | URL | 2014-01-27(Mon)17:39 [編集]


三等重役

田沼様 (大冒険)の件で、揖斐川橋梁へ現地調査に行かれたとのこと その行動力に敬服致します。

さて(三等重役)に関するお尋ねですが、南海駅のシーンを再び見ました。大きい駅ですが、架線が張って有る以外これといって特徴がありませんのでホームを見ただけでは分かりません。
 入線してきた機関車が不鮮明ですが C58150と小生には見えました。だとすると、このカマは長らく佐倉区の所属でしたので該当するのは旧千葉駅(1963年まで存在)ではないかと思われます。でもあまり自信はありません。
 次の南海商事東京支店横の高架線ですが、70系42系電車が映っている点で横須賀線の新橋界隈辺りかと思われますがこちらも自信はありません。

 (坊ちゃん社員)については、未鑑賞なので悪しからず。何時かは見てみたい作品です。
 
 

テツエイダ | URL | 2014-01-29(Wed)22:47 [編集]