
1978年9月 松竹 製作 公開 カラー作品 監督 山本薩夫
元総理で 政界の黒幕を担いで 自衛隊の一部最高幹部と共に クーデターによる 右翼政権樹立を目指して トレインジャックを起こした 藤崎顕正元一尉(渡瀬恒彦)率いる一団と、秘密裏に鎮圧を目指す 政府との攻防を描いた アクション映画です。
藤崎の妻 杏子(吉永小百合)は 突然5年も音信不通の父である 陸上自衛隊 警務部長 江見為一郎(三國連太郎)の訪問を受け、更に藤崎から「急用で今夜東京へ行く」との手紙を受け取り 不穏な予感がして 博多駅へ行きました。
一方 杏子の元恋人 石森宏明(山本圭)は 博多駅みどりの窓口で キャンセル待ちしていた 特別急行列車さくら号の1号車3番の 特急・寝台・乗車券を受け取り 改札口へ向かうと、謎の男から「その切符を譲ってほしい」と 強引に頼まれますが拒絶します。

博多駅4番線へ 長崎・佐世保始発の 2レ特別急行列車さくらが 入線して来ます。改札口から入場券で入った杏子は ホームへ上がって捜しますが藤崎はいません。

一方 杏子の姿を見た石森は 男を振り払って 4番線ホームへと階段を駆け上がり、最後尾の一号車に発車寸前 乗り込むことが出来ました。

18:59 1号車最後尾が映ったのに続いて、

ED76形電機に牽かれた ヘッドマーク無の特別急行列車さくら号は、

夕暮れの博多駅から 翌日11:30の東京着を目指して 出発して行きます。

1号車には ゴルフバッグや大きな荷物を持ち込んだ 体格の良い一団が乗り込み、

石森に切符の譲渡を強要した二人も 石森の様子を伺っています。

石森は 杏子がこの列車に乗った筈だと思い 車内を捜し歩くと

デッキで杏子に会い、後程 食堂車で会う約束をします。
その後車内では 寝台設置の放送があり 職員によって中段寝台が降ろされ、3段寝台全体が 利用できる夜間体制となります。

特別急行列車さくら号は 大きな橋梁を渡り、

若戸大橋らしきの手前で 90度カーブを曲がる地点を走ります。

杏子が食堂車へ行くと、既に石森が待っていました。コーヒーを注文して、夕刻の窓辺で 5年前までの想いで話しを 石森がしますが杏子は虚ろ顔です。


その頃 謎の一団では 小森一尉(三上真一郎)から 無線起爆式М爆弾を 各隊員に配られ、

20:01の下関到着と共に


最後尾から線路上に降りて

台車上の床下へ各隊員が取付ました。
ところが杏子が 列車から降ろそうとした石森に その様子を見られてしまい、


通報した車掌から 鉄道公安官に連絡されて 20:15着の下関駅で


待ち構えた検査員が 調査しましたが いち早く隊員が取り外して 調査は空振りでした。


更に不穏な気配を感じた石森が 杏子を降ろそうと ホームで揉めている所へ現れた 小森一尉達に、藤崎のいる車輌へと 杏子は連れていかれました。下関からは EF651101に牽かれて、ここから ヘッドマークを取り付けた 特別急行列車さくら号は 発車します。


再会した藤崎に 父の江見が来宅したことを告げるや、藤崎は 秘密作戦発覚を予感し 二人は監禁されました。 車掌の検札が始まると

杏子は小森一尉から 特急・寝台・乗車券を渡され、変な動きをすると 車掌を射殺することになると脅されました。
そして 無線連絡を取っていた 徳山の東上隊から「鎮圧隊に包囲され、使命続行は不可能」との連絡を受けた藤崎は「戦闘準備!列車を制圧する」と指令し、

隊員は 戦闘服に着替え 自動小銃を手に 各車両・食堂車を制圧し ブラインドを降ろさせます。

機関車の運転席も 制圧した列車は 東上隊との合流地点である 徳山駅1番線に入線しますが、ホームにはびっしりと 鎮圧軍の将兵が銃を手に並び

機関銃付きの車輛まで配置されています。

2号車のドアが開くと 広島第13師団 徳永陸将補(岡田英次)が 藤崎に投降を命じますが拒否され、

藤崎は手にする起爆送信機のスイッチで 各車両に取り付けたМ爆弾が 乗客もろとも爆発すると脅して出発し 通路の椅子で思案する中 淡々と各駅を列車は通過して行くのでした。


政府は秘密裏に 鎮圧を強行すべく 自衛隊の対ハイジャック専門の特殊部隊を 大型輸送ヘリで派遣し、山間部で列車を強行停車させ ドアを破壊して 強行突入するなど 車輌内外から攻撃して 反乱部隊を全滅させます。

藤崎は杏子もろとも 激しい銃撃を浴びますが、最後の力を振り絞り 起爆装置のボタンを押しました。すると列車後部が激しく大爆発し、空高く 特急さくら号の破片が 吹き上がるのでした。

PS.
本作はその内容故に 国鉄から撮影協力を 拒否されたので、博多駅シーン等は 隠し撮りで行った様です。吉永小百合が ホームを右往左往したシーンは 目立ったことでしょう。
そして本作は 車内シーンが多いので 山本監督は美術の芳野尹孝と協議を重ね、大船撮影所内に 1号車スハネフ14全体+(2号車オハネ14+6号車オシ14は 共に半分)の 車輌間移動可能な セットを作ったそうです。
内装は本物の 14系寝台車を製造した 新潟鉄鋼に依頼して、本物と同じ部材で 5千万円を掛けて 組立てもらったそうです。他のセットと合わせると、セットの直接費だけで 2億4千万円掛かったそうです。(45年前の金額で、総製作費は8億円)
それだけに 10枚目の画像では 14系寝台車の特徴である中段寝台を 電動で降下設置するシーンがあり、寝台窓中央部の 折り畳み梯子・通路窓下部の 折り畳み椅子・照明・洗面所・デッキ扉等・食堂車窓に組み込んだ ベネシアンブラインドまで 内装は細部まで造り込んであります。
13枚目の画像で映る 夕刻の食堂車窓辺のシーンは スクリーンプロセスを使わず 大型トレーラーの荷台に 食堂車一部分の内装セットを固定し、夕刻に工業地帯を走りながら 複数のカメラで撮影した内の ワンカットだそうです。
だから作中では 役者もコップも、揺れ過ぎと思える 強い振動が加わった瞬間が 映っています。(凝り性の山本監督ならでは!)
これとは別に 3輌分のセットを 1973年製作の(330.塩狩峠)で縁の有った 三菱石炭鉱業大夕張鉄道の 南大夕張駅で 3輌の客車に 14系寝台車の外装を取り付け 18・20・24枚目の画像等の ロケを行ったそうです。
それ故 古いイコライザー式台車を履いた 14系寝台車が映り、スハニ6形客車の TR70形3軸ボギー式台車が わざわざアップで映しています。

こうして南大夕張駅を 徳山駅に見立てて 移動しながら停車し、藤崎隊と鎮圧軍が対峙する 実車さながらの迫力あるシーンが 撮影されています。
ラストシーンは 列車を大爆発させる為、自衛隊員がクーデターを起こす内容にもかかわらず 御殿場にある陸上自衛隊の協力が得られました。
演習地の一角を借りて 大道具さん15人で一か月掛けて作った3輌の列車セットを 大型トラック4台で運び組立て、大勢の役者・エキストラ参加の元で 盛大に大爆発させて撮影したそうです。
参考 : 映画情報1978年11月号 鉄道ファン№132 1972年4月号
元総理で 政界の黒幕を担いで 自衛隊の一部最高幹部と共に クーデターによる 右翼政権樹立を目指して トレインジャックを起こした 藤崎顕正元一尉(渡瀬恒彦)率いる一団と、秘密裏に鎮圧を目指す 政府との攻防を描いた アクション映画です。
藤崎の妻 杏子(吉永小百合)は 突然5年も音信不通の父である 陸上自衛隊 警務部長 江見為一郎(三國連太郎)の訪問を受け、更に藤崎から「急用で今夜東京へ行く」との手紙を受け取り 不穏な予感がして 博多駅へ行きました。
一方 杏子の元恋人 石森宏明(山本圭)は 博多駅みどりの窓口で キャンセル待ちしていた 特別急行列車さくら号の1号車3番の 特急・寝台・乗車券を受け取り 改札口へ向かうと、謎の男から「その切符を譲ってほしい」と 強引に頼まれますが拒絶します。

博多駅4番線へ 長崎・佐世保始発の 2レ特別急行列車さくらが 入線して来ます。改札口から入場券で入った杏子は ホームへ上がって捜しますが藤崎はいません。

一方 杏子の姿を見た石森は 男を振り払って 4番線ホームへと階段を駆け上がり、最後尾の一号車に発車寸前 乗り込むことが出来ました。

18:59 1号車最後尾が映ったのに続いて、

ED76形電機に牽かれた ヘッドマーク無の特別急行列車さくら号は、

夕暮れの博多駅から 翌日11:30の東京着を目指して 出発して行きます。

1号車には ゴルフバッグや大きな荷物を持ち込んだ 体格の良い一団が乗り込み、

石森に切符の譲渡を強要した二人も 石森の様子を伺っています。

石森は 杏子がこの列車に乗った筈だと思い 車内を捜し歩くと

デッキで杏子に会い、後程 食堂車で会う約束をします。
その後車内では 寝台設置の放送があり 職員によって中段寝台が降ろされ、3段寝台全体が 利用できる夜間体制となります。

特別急行列車さくら号は 大きな橋梁を渡り、

若戸大橋らしきの手前で 90度カーブを曲がる地点を走ります。

杏子が食堂車へ行くと、既に石森が待っていました。コーヒーを注文して、夕刻の窓辺で 5年前までの想いで話しを 石森がしますが杏子は虚ろ顔です。


その頃 謎の一団では 小森一尉(三上真一郎)から 無線起爆式М爆弾を 各隊員に配られ、

20:01の下関到着と共に


最後尾から線路上に降りて

台車上の床下へ各隊員が取付ました。
ところが杏子が 列車から降ろそうとした石森に その様子を見られてしまい、


通報した車掌から 鉄道公安官に連絡されて 20:15着の下関駅で


待ち構えた検査員が 調査しましたが いち早く隊員が取り外して 調査は空振りでした。


更に不穏な気配を感じた石森が 杏子を降ろそうと ホームで揉めている所へ現れた 小森一尉達に、藤崎のいる車輌へと 杏子は連れていかれました。下関からは EF651101に牽かれて、ここから ヘッドマークを取り付けた 特別急行列車さくら号は 発車します。


再会した藤崎に 父の江見が来宅したことを告げるや、藤崎は 秘密作戦発覚を予感し 二人は監禁されました。 車掌の検札が始まると

杏子は小森一尉から 特急・寝台・乗車券を渡され、変な動きをすると 車掌を射殺することになると脅されました。
そして 無線連絡を取っていた 徳山の東上隊から「鎮圧隊に包囲され、使命続行は不可能」との連絡を受けた藤崎は「戦闘準備!列車を制圧する」と指令し、

隊員は 戦闘服に着替え 自動小銃を手に 各車両・食堂車を制圧し ブラインドを降ろさせます。

機関車の運転席も 制圧した列車は 東上隊との合流地点である 徳山駅1番線に入線しますが、ホームにはびっしりと 鎮圧軍の将兵が銃を手に並び

機関銃付きの車輛まで配置されています。

2号車のドアが開くと 広島第13師団 徳永陸将補(岡田英次)が 藤崎に投降を命じますが拒否され、

藤崎は手にする起爆送信機のスイッチで 各車両に取り付けたМ爆弾が 乗客もろとも爆発すると脅して出発し 通路の椅子で思案する中 淡々と各駅を列車は通過して行くのでした。


政府は秘密裏に 鎮圧を強行すべく 自衛隊の対ハイジャック専門の特殊部隊を 大型輸送ヘリで派遣し、山間部で列車を強行停車させ ドアを破壊して 強行突入するなど 車輌内外から攻撃して 反乱部隊を全滅させます。

藤崎は杏子もろとも 激しい銃撃を浴びますが、最後の力を振り絞り 起爆装置のボタンを押しました。すると列車後部が激しく大爆発し、空高く 特急さくら号の破片が 吹き上がるのでした。

PS.
本作はその内容故に 国鉄から撮影協力を 拒否されたので、博多駅シーン等は 隠し撮りで行った様です。吉永小百合が ホームを右往左往したシーンは 目立ったことでしょう。
そして本作は 車内シーンが多いので 山本監督は美術の芳野尹孝と協議を重ね、大船撮影所内に 1号車スハネフ14全体+(2号車オハネ14+6号車オシ14は 共に半分)の 車輌間移動可能な セットを作ったそうです。
内装は本物の 14系寝台車を製造した 新潟鉄鋼に依頼して、本物と同じ部材で 5千万円を掛けて 組立てもらったそうです。他のセットと合わせると、セットの直接費だけで 2億4千万円掛かったそうです。(45年前の金額で、総製作費は8億円)
それだけに 10枚目の画像では 14系寝台車の特徴である中段寝台を 電動で降下設置するシーンがあり、寝台窓中央部の 折り畳み梯子・通路窓下部の 折り畳み椅子・照明・洗面所・デッキ扉等・食堂車窓に組み込んだ ベネシアンブラインドまで 内装は細部まで造り込んであります。
13枚目の画像で映る 夕刻の食堂車窓辺のシーンは スクリーンプロセスを使わず 大型トレーラーの荷台に 食堂車一部分の内装セットを固定し、夕刻に工業地帯を走りながら 複数のカメラで撮影した内の ワンカットだそうです。
だから作中では 役者もコップも、揺れ過ぎと思える 強い振動が加わった瞬間が 映っています。(凝り性の山本監督ならでは!)
これとは別に 3輌分のセットを 1973年製作の(330.塩狩峠)で縁の有った 三菱石炭鉱業大夕張鉄道の 南大夕張駅で 3輌の客車に 14系寝台車の外装を取り付け 18・20・24枚目の画像等の ロケを行ったそうです。
それ故 古いイコライザー式台車を履いた 14系寝台車が映り、スハニ6形客車の TR70形3軸ボギー式台車が わざわざアップで映しています。

こうして南大夕張駅を 徳山駅に見立てて 移動しながら停車し、藤崎隊と鎮圧軍が対峙する 実車さながらの迫力あるシーンが 撮影されています。
ラストシーンは 列車を大爆発させる為、自衛隊員がクーデターを起こす内容にもかかわらず 御殿場にある陸上自衛隊の協力が得られました。
演習地の一角を借りて 大道具さん15人で一か月掛けて作った3輌の列車セットを 大型トラック4台で運び組立て、大勢の役者・エキストラ参加の元で 盛大に大爆発させて撮影したそうです。
参考 : 映画情報1978年11月号 鉄道ファン№132 1972年4月号


