
1973年11月 松竹 製作 公開 カラー作品 監督 野村芳太郎
万年平社員の 雨野大助(三波伸介)は 同期入社の南村不二夫(小山田宗徳)が 課長になったことから、出世を願う家族の 虐待に耐えながら 係長昇進を目指す コメディ映画です。
真面目で正直な 雨野に惚れこんだ本田冬子(倍賞美津子)は 結婚式・披露宴に続いて、東京駅らしき7番線から皆に見送られ グリーン車で二人は 新婚旅行に出発します。



一同が見送りを終えて帰り際に 南村は冬子の短大の後輩 由美子(吉田日出子)に 声を掛けている背後には、9番線に停車中の 横須賀線電車が映っています。

グリーン車内で雨野は「出世の為に 冬子さんには お尻をひっぱたいて欲しい」と願い出ると 冬子は承諾しますが、これが後々 悲惨な雨野の生活への 発端になるのでした。

そんな未来が 来るとも知らず、二人を乗せた列車は 旅行先へと向かいます。

10年後 雨野は相変わらずの平社員で、妻と 一人息子タコ坊(佐野伸寿)の 三人で団地住まいです。
ところが 後輩由美子の夫 南村が 課長に昇進したと聞いた冬子は、係長昇進の条件である 宅地建物取引主任者の 今年度試験合格を雨野に厳命し 一段と強く尻を叩きます。
この為雨野は 満員の通勤電車車内でも、連日対策本を 読んでいます。

しかし試験ノイローゼと なってしまった雨野は、試験会場から 脱走する始末でした。
その後 北海道の土地開発を夢見て 本を出版する社長の 太田元蔵(豊島泰三)でしたが、会社が取得した 北端稚内の土地開発は 全く目途が立ちません。
そこで南村は 雨野に警備係長の 肩書を付けて、稚内事務所に転勤させることを 部長(田武謙三)に 進言するのでした。
そして雨野が旅立つ日 上野駅14番線には、

南村始め会社の同僚が 見送りに来ていますが

冬子とタコ坊はいません。
スピーカーから「22:00発 山形・秋田周り青森行 特急あけぼの号です」と 構内放送が流れています。
南村は「二三年経ったら 必ず呼び返すからな」などと、調子のいい事を言ってます。雨野がデッキから 車内へ移動して 通路のカーテンを上げると、皆が「栄転なんて言ったって 島流しだね」などと言ってます。


皆の見送りを受けた雨野が乗る 特別急行あけぼの1号は、静かに上野駅から去り行きます。

ところが 走る車内で 雨野が一人寂しく座っていると、突然冬子とタコ坊が 荷物を持って現れました。雨野は思わず「お前も一緒に?」と言うと「当たり前でしょ」と言って 転勤に同行するのでした・・・

ラストシーンでは 20系特別急行列車 あけぼの号らしきが、暁の陸奥路を 走り去る姿で エンドマークとなります。

PS.
1970年から12年間に渡って 週刊少年サンデーに連載された 古谷三敏の漫画が原作で、長女雪子は登場しない 三人家族として描かれています。
1・2枚目の画像の列車は 3枚目の画像で ホームの時計が11:21頃なので、東京駅11:20発 725м伊東行で ロケが行われたのでは? でも続く車内シーンは セット撮影の様です。
6枚目の画像で映っている橋梁は、1980年代まであった 立場川橋梁に似てますね。
9枚目の画像からの 上野駅・車内シーンは セット撮影と思われますが、作中で同僚が見送る部分では 実際に現地で撮影している様です。
特別急行あけぼの号は 1970年奥羽本線(福島~秋田区間)初の 寝台特急として登場し、本作公開時までには 秋田行も増便され 特別急行列車にふさわしく 1号には食堂車が連結されていました。
しかし上野発車が 22:00で秋田到着が 7:03・終着が10:22と 実質 朝食しか営業出来ない 不採算列車食堂でしたので、本作公開8日後をもって 食堂車は外されてしまったそうです。
また雨野は何故か 秋田切り離しの11号車に 乗っています。青森行の 1号車~8号車が 取れなかったので、秋田から 青森行編成に移動して 立席特急券で 青森へ向かったのでしょうか。
北海道連絡列車と言えば、東北本線か 常磐線から連絡船を使って 同じ列車番号で繋がった筋で 行くのがスムーズだったのです。
22:24発 5M特急はくつる ― 7:10 青森 7:30 - 連絡船5便 - 11:50着 函館発 305D急行宗谷 - 稚内22:45着が 普通ですが、雨野は上野 22:00 - 1001レ 特急あけぼの1号 - 10:22着 青森 12:05発 - 青函連絡船21便 - 15:55着 函館 16:15発 21D特急北斗3号 - 20:28着 札幌 21:20発 - 317レ急行利尻 6:26稚内着
つまり 北海道連絡を考慮していない 特急あけぼの1号を使うと 青森に到着する7分前の 10:15に 7便連絡船は出港してしまい、乗り継ぐ 21便に青森港で 1時間43分も 待つことになります。所要時間は 32時間26分と 8時間5分も余分に掛かった上に、特急北斗の特急料金と 急行利尻の 寝台料金が余分に掛かった?(雨野はテツ?)
本作のタイトルは(126.やさぐれ刑事 18分)に次ぐ 12分40秒と長く、雨野が未だ平穏で幸せな時代と その後の分岐点に タイトルが置かれています。(300.張込み)は 11分15秒なので、当ブログ中 3位となりました。
社長が自論の本を出版する時 ポスターの原案を 部長が提示するシーンで、懐かしい 田中角栄首相の(日本列島改造論)をモジった ソックリさんポスターが登場しています。

万年平社員の 雨野大助(三波伸介)は 同期入社の南村不二夫(小山田宗徳)が 課長になったことから、出世を願う家族の 虐待に耐えながら 係長昇進を目指す コメディ映画です。
真面目で正直な 雨野に惚れこんだ本田冬子(倍賞美津子)は 結婚式・披露宴に続いて、東京駅らしき7番線から皆に見送られ グリーン車で二人は 新婚旅行に出発します。



一同が見送りを終えて帰り際に 南村は冬子の短大の後輩 由美子(吉田日出子)に 声を掛けている背後には、9番線に停車中の 横須賀線電車が映っています。

グリーン車内で雨野は「出世の為に 冬子さんには お尻をひっぱたいて欲しい」と願い出ると 冬子は承諾しますが、これが後々 悲惨な雨野の生活への 発端になるのでした。

そんな未来が 来るとも知らず、二人を乗せた列車は 旅行先へと向かいます。

10年後 雨野は相変わらずの平社員で、妻と 一人息子タコ坊(佐野伸寿)の 三人で団地住まいです。
ところが 後輩由美子の夫 南村が 課長に昇進したと聞いた冬子は、係長昇進の条件である 宅地建物取引主任者の 今年度試験合格を雨野に厳命し 一段と強く尻を叩きます。
この為雨野は 満員の通勤電車車内でも、連日対策本を 読んでいます。

しかし試験ノイローゼと なってしまった雨野は、試験会場から 脱走する始末でした。
その後 北海道の土地開発を夢見て 本を出版する社長の 太田元蔵(豊島泰三)でしたが、会社が取得した 北端稚内の土地開発は 全く目途が立ちません。
そこで南村は 雨野に警備係長の 肩書を付けて、稚内事務所に転勤させることを 部長(田武謙三)に 進言するのでした。
そして雨野が旅立つ日 上野駅14番線には、

南村始め会社の同僚が 見送りに来ていますが

冬子とタコ坊はいません。
スピーカーから「22:00発 山形・秋田周り青森行 特急あけぼの号です」と 構内放送が流れています。
南村は「二三年経ったら 必ず呼び返すからな」などと、調子のいい事を言ってます。雨野がデッキから 車内へ移動して 通路のカーテンを上げると、皆が「栄転なんて言ったって 島流しだね」などと言ってます。


皆の見送りを受けた雨野が乗る 特別急行あけぼの1号は、静かに上野駅から去り行きます。

ところが 走る車内で 雨野が一人寂しく座っていると、突然冬子とタコ坊が 荷物を持って現れました。雨野は思わず「お前も一緒に?」と言うと「当たり前でしょ」と言って 転勤に同行するのでした・・・

ラストシーンでは 20系特別急行列車 あけぼの号らしきが、暁の陸奥路を 走り去る姿で エンドマークとなります。

PS.
1970年から12年間に渡って 週刊少年サンデーに連載された 古谷三敏の漫画が原作で、長女雪子は登場しない 三人家族として描かれています。
1・2枚目の画像の列車は 3枚目の画像で ホームの時計が11:21頃なので、東京駅11:20発 725м伊東行で ロケが行われたのでは? でも続く車内シーンは セット撮影の様です。
6枚目の画像で映っている橋梁は、1980年代まであった 立場川橋梁に似てますね。
9枚目の画像からの 上野駅・車内シーンは セット撮影と思われますが、作中で同僚が見送る部分では 実際に現地で撮影している様です。
特別急行あけぼの号は 1970年奥羽本線(福島~秋田区間)初の 寝台特急として登場し、本作公開時までには 秋田行も増便され 特別急行列車にふさわしく 1号には食堂車が連結されていました。
しかし上野発車が 22:00で秋田到着が 7:03・終着が10:22と 実質 朝食しか営業出来ない 不採算列車食堂でしたので、本作公開8日後をもって 食堂車は外されてしまったそうです。
また雨野は何故か 秋田切り離しの11号車に 乗っています。青森行の 1号車~8号車が 取れなかったので、秋田から 青森行編成に移動して 立席特急券で 青森へ向かったのでしょうか。
北海道連絡列車と言えば、東北本線か 常磐線から連絡船を使って 同じ列車番号で繋がった筋で 行くのがスムーズだったのです。
22:24発 5M特急はくつる ― 7:10 青森 7:30 - 連絡船5便 - 11:50着 函館発 305D急行宗谷 - 稚内22:45着が 普通ですが、雨野は上野 22:00 - 1001レ 特急あけぼの1号 - 10:22着 青森 12:05発 - 青函連絡船21便 - 15:55着 函館 16:15発 21D特急北斗3号 - 20:28着 札幌 21:20発 - 317レ急行利尻 6:26稚内着
つまり 北海道連絡を考慮していない 特急あけぼの1号を使うと 青森に到着する7分前の 10:15に 7便連絡船は出港してしまい、乗り継ぐ 21便に青森港で 1時間43分も 待つことになります。所要時間は 32時間26分と 8時間5分も余分に掛かった上に、特急北斗の特急料金と 急行利尻の 寝台料金が余分に掛かった?(雨野はテツ?)
本作のタイトルは(126.やさぐれ刑事 18分)に次ぐ 12分40秒と長く、雨野が未だ平穏で幸せな時代と その後の分岐点に タイトルが置かれています。(300.張込み)は 11分15秒なので、当ブログ中 3位となりました。
社長が自論の本を出版する時 ポスターの原案を 部長が提示するシーンで、懐かしい 田中角栄首相の(日本列島改造論)をモジった ソックリさんポスターが登場しています。



