
1956年3月 東映製作公開 監督小澤茂弘
急行列車の後部に連結されている郵便車内で 強盗殺人事件が発生し、沿線で発見した遺留品から犯人逮捕に迫る 捜査陣の活躍を描いた警察もの映画です。
冒頭 明け方に東海道本線 多摩川橋梁らしきを渡る列車が映り、

電機・三等車7輌・二等車3輌の後部に 郵便車・荷物車らしきが連結されています。

郵便車の車内では 郵袋をチェックしたり 仕分けした 郵便物を本局毎にまとめた束を 郵袋に詰めたりと、終着駅が近付いた様子の 作業が行われています。

そこへ トレンチコート姿の男が静かに侵入し、3人の職員を 拳銃で続けて撃ち倒してしまいます。
男は倒れた3人を尻目に 赤行囊(あかこうのう)を開けて 札束を確認すると、再び縛って

腕時計も確認し 郵袋室へ移動して 扉を開けると袋を投げ落としました。
やがて列車は 品川駅手前の京浜急行電鉄「八ツ山橋梁」を潜ると、

品川駅構内を走り

7番線へ到着しました。

後部の郵便車も 停車する様子が映ります。

品川で降車する人々が 意外に多く、階段方向へ進んで行きます。

リベット打外装の郵便車から 帽子を眼深に被った男は、人目をはばかる様に出てくると

降車客に紛れて逃走します。

続いてドアが開いたままの郵便車を 不審に思った公安官は、車内で倒れている3人を発見し 警視庁捜査一課へ「博多発1006列車内で 強盗殺人事件発生」と通報されました。
列車は品川10分延発で 東京駅にて現場検証が行われることになり、捜査一課の面々と鑑識課員が 東京駅9番線へと向かいます。報道陣は 階段の規制線で阻止されてしまうのでした。



東京駅でのロケとセット撮影部分を、交互に繋いでいる様にも思えます。

当初は 一人だけ生き残った佐藤職員(岡野耕作)の 狂言かと思われましたが、当人に拳銃発射痕跡が無かったので 外部からの侵入者による 強盗殺人事件と断定されます。
奪われた京都産業銀行の 送金赤行囊被害額は 1300万円で、犯人が目立つ赤行囊を 沿線の共犯者に投げ落としたのではと捜査が始まります。
横須賀線の70系電車らしきが走行する沿線で

真田刑事(堀雄二)は薬莢を発見し、付近には新しい大型乗用車のタイヤ痕がありました。更に第四種踏切を渡った先で

動員された警察犬が血液の付着した封筒を発見します。
封筒には 謎の計算式が記してあり、

宛名が日暮里の 木村雄三とありました。若手の宮川刑事(南原伸二)が計算式を見て、「横は横浜発時刻で 品は品川着の時刻から 所要時間を出し、投下地点の通過時刻を割り出した計算式だ」と推測します。
一方 宛名住所へ向かった真田刑事は、C57形蒸機牽引列車が通過する 常磐線踏切と

立体交差する京成電鉄高架線下を 歩いて木村宅へ向かいます。

家には母親(千石規子)がいて、本人は四・五日帰ってこないと言います。真田は任意で 家に入れてもらった割には、机の引き出しを勝手に開けて 木村が女と写した写真を入手します。
木村が勤めていたキャバレー{八番街}隣の森田商行に 遺留品現場に残されたタイヤ痕と 同じホイールベースの大型乗用車が、頻繁に乗り付けられていることを 捜査陣は掴みます。
木村が事件に関与していると踏んで 捜していた捜査陣でしたが、72系電車らしきが走り抜ける中央線の線路近くの

雑木林で木村の遺体が発見されました。
一見所持している拳銃による自殺ですが、本人が撃っていないので 他殺と断定されました。
宮川刑事が キャバレーの客として入店し 更に奥へ潜入して探っていると、森田の子分で 元プロレスラーの柏木(萩原満)に 殴り倒され捕まってしまいます。
一方 真田刑事が森田商行へ出向き 木村の写真を見せることで 森田と柏木の指紋を取得し、京都産業銀行強盗事件で 残された指紋と一致したことで 捜査陣は森田達を逮捕に向かうのでした。
PS.
1006列車とは 1954年9月迄 佐世保を真夜中の2:00に出発し、山陽本線から呉線を経由して 進駐軍の関係か小駅「風早」にも停車する特殊列車でした。
ロケ当時は 急行早鞆号として 東京と博多発着となりましたが、三等車無しで 全車二等車の豪華編成のままで 呉線経由もそのままでした。ネC・ネAB・ネAB・ネC・ネC・ロ・シ・ロ・ニ・ニの10輌編成です。
1006レ上り急行早鞆は 博多 6:00発 ― 翌5:55 横浜着 6:10発 ― 6:40東京着でした。つまり横浜で15分も停車し、発車すると 以後は特急の様に 東京まで無停車で 品川には停車しません。
特殊列車時代から上りの横浜発着時刻を含むダイヤは 一貫して変わらず運行していた1006レだけに、空想とは言え 脚本家は何故1006列車を選んだのか不思議です。
冒頭に登場するEF56 らしき電機が牽く列車は 三等車7輌・二等車3輌・ユ・ニの編成ですが、当時の時刻表から この列車は12レ急行明星号と断定できそうですし 脚本が12列車だったらスッキリでしたが・・・。
ですから品川駅到着シーンの列車は 編成全てが映っていないので特定できませんが、リベット打外装の郵便車と 新しい郵便車が連なっている場面は 郵便車が2輌連結された急行列車が存在しないことから 或いは荷物専用列車の一部を映したのかもしれません。
強盗犯が品川駅で伏目がちに降車する場面と 東京駅9番線で現場検証する場面の郵便車は セット撮影の様です。
冒頭の明星号らしきに連結されている郵便車はスユ42形らしき、取扱使用郵便車の様です。この車輛は車内で郵便物を区分し集配最寄駅で郵便・小包を積み下ろしする車輛だったそうで、車内シーンのセットもスユ42形を想定した造りとなっています。
多額の現金を赤行囊と言う布袋に入れて郵便物として運ぶ割には、一般急行列車に連結してカギも掛からない車輛で混載して運んでいたとは驚きです。マニ34形等の日銀券輸送車とは扱いの発想が違った様ですね。
18枚目の画像から宮川刑事が赤行囊の投下地点の通過時刻を割り出す計算式と推定しますが、当時横浜~品川の所要時間は20分でしたので画像の28分は掛かり過ぎでは?と思って時刻表をよく読むと横浜~新橋の所要時間でした。(品川での停車時間を含む)
脚本家は時刻表の門司からの距離欄で横浜は1074.0㎞・品川1096.0㎞のところを新橋1098.9㎞の数値を間違えて使った様で、更に途中の計算式も間違えています。 24.9÷28=0.889 分速889mが正解 分速933mにはなり得ない。
メモの13.5を横浜駅~投下地点までの距離13.5㎞とすると、メモの6時07分30秒ではなく6時10分12秒となります。
更に正しい横浜~品川22.0㎞・所要20分から、13.5㎞の投下地点通過時刻は6時07分16秒です。(無理やり計算式で誤差14秒としていますが、実際には投下予定地点で待ち構えた森田の 14秒後に257m先の場所へ木村は投下した?)
日暮里駅近くで京成電鉄の高架線と立体交差する常磐線の踏切は(338.警視庁物語 夜の野獣)等でも登場するロケの名所だった様です。
木村の遺体発見現場近くで映る72系電車の最後尾には半室二等車が連結されています。本作公開の翌年101系電車(1959年まではモハ90系)の登場期に、中央線電車の二等車は廃止されました。(2023年度末に復活予定)
(鑑賞時に感動した本作だけに、重箱の隅を楊枝でほじくり過ぎでした! 反省!)
急行列車の後部に連結されている郵便車内で 強盗殺人事件が発生し、沿線で発見した遺留品から犯人逮捕に迫る 捜査陣の活躍を描いた警察もの映画です。
冒頭 明け方に東海道本線 多摩川橋梁らしきを渡る列車が映り、

電機・三等車7輌・二等車3輌の後部に 郵便車・荷物車らしきが連結されています。

郵便車の車内では 郵袋をチェックしたり 仕分けした 郵便物を本局毎にまとめた束を 郵袋に詰めたりと、終着駅が近付いた様子の 作業が行われています。

そこへ トレンチコート姿の男が静かに侵入し、3人の職員を 拳銃で続けて撃ち倒してしまいます。
男は倒れた3人を尻目に 赤行囊(あかこうのう)を開けて 札束を確認すると、再び縛って

腕時計も確認し 郵袋室へ移動して 扉を開けると袋を投げ落としました。
やがて列車は 品川駅手前の京浜急行電鉄「八ツ山橋梁」を潜ると、

品川駅構内を走り

7番線へ到着しました。

後部の郵便車も 停車する様子が映ります。

品川で降車する人々が 意外に多く、階段方向へ進んで行きます。

リベット打外装の郵便車から 帽子を眼深に被った男は、人目をはばかる様に出てくると

降車客に紛れて逃走します。

続いてドアが開いたままの郵便車を 不審に思った公安官は、車内で倒れている3人を発見し 警視庁捜査一課へ「博多発1006列車内で 強盗殺人事件発生」と通報されました。
列車は品川10分延発で 東京駅にて現場検証が行われることになり、捜査一課の面々と鑑識課員が 東京駅9番線へと向かいます。報道陣は 階段の規制線で阻止されてしまうのでした。



東京駅でのロケとセット撮影部分を、交互に繋いでいる様にも思えます。

当初は 一人だけ生き残った佐藤職員(岡野耕作)の 狂言かと思われましたが、当人に拳銃発射痕跡が無かったので 外部からの侵入者による 強盗殺人事件と断定されます。
奪われた京都産業銀行の 送金赤行囊被害額は 1300万円で、犯人が目立つ赤行囊を 沿線の共犯者に投げ落としたのではと捜査が始まります。
横須賀線の70系電車らしきが走行する沿線で

真田刑事(堀雄二)は薬莢を発見し、付近には新しい大型乗用車のタイヤ痕がありました。更に第四種踏切を渡った先で

動員された警察犬が血液の付着した封筒を発見します。
封筒には 謎の計算式が記してあり、

宛名が日暮里の 木村雄三とありました。若手の宮川刑事(南原伸二)が計算式を見て、「横は横浜発時刻で 品は品川着の時刻から 所要時間を出し、投下地点の通過時刻を割り出した計算式だ」と推測します。
一方 宛名住所へ向かった真田刑事は、C57形蒸機牽引列車が通過する 常磐線踏切と

立体交差する京成電鉄高架線下を 歩いて木村宅へ向かいます。

家には母親(千石規子)がいて、本人は四・五日帰ってこないと言います。真田は任意で 家に入れてもらった割には、机の引き出しを勝手に開けて 木村が女と写した写真を入手します。
木村が勤めていたキャバレー{八番街}隣の森田商行に 遺留品現場に残されたタイヤ痕と 同じホイールベースの大型乗用車が、頻繁に乗り付けられていることを 捜査陣は掴みます。
木村が事件に関与していると踏んで 捜していた捜査陣でしたが、72系電車らしきが走り抜ける中央線の線路近くの

雑木林で木村の遺体が発見されました。
一見所持している拳銃による自殺ですが、本人が撃っていないので 他殺と断定されました。
宮川刑事が キャバレーの客として入店し 更に奥へ潜入して探っていると、森田の子分で 元プロレスラーの柏木(萩原満)に 殴り倒され捕まってしまいます。
一方 真田刑事が森田商行へ出向き 木村の写真を見せることで 森田と柏木の指紋を取得し、京都産業銀行強盗事件で 残された指紋と一致したことで 捜査陣は森田達を逮捕に向かうのでした。
PS.
1006列車とは 1954年9月迄 佐世保を真夜中の2:00に出発し、山陽本線から呉線を経由して 進駐軍の関係か小駅「風早」にも停車する特殊列車でした。
ロケ当時は 急行早鞆号として 東京と博多発着となりましたが、三等車無しで 全車二等車の豪華編成のままで 呉線経由もそのままでした。ネC・ネAB・ネAB・ネC・ネC・ロ・シ・ロ・ニ・ニの10輌編成です。
1006レ上り急行早鞆は 博多 6:00発 ― 翌5:55 横浜着 6:10発 ― 6:40東京着でした。つまり横浜で15分も停車し、発車すると 以後は特急の様に 東京まで無停車で 品川には停車しません。
特殊列車時代から上りの横浜発着時刻を含むダイヤは 一貫して変わらず運行していた1006レだけに、空想とは言え 脚本家は何故1006列車を選んだのか不思議です。
冒頭に登場するEF56 らしき電機が牽く列車は 三等車7輌・二等車3輌・ユ・ニの編成ですが、当時の時刻表から この列車は12レ急行明星号と断定できそうですし 脚本が12列車だったらスッキリでしたが・・・。
ですから品川駅到着シーンの列車は 編成全てが映っていないので特定できませんが、リベット打外装の郵便車と 新しい郵便車が連なっている場面は 郵便車が2輌連結された急行列車が存在しないことから 或いは荷物専用列車の一部を映したのかもしれません。
強盗犯が品川駅で伏目がちに降車する場面と 東京駅9番線で現場検証する場面の郵便車は セット撮影の様です。
冒頭の明星号らしきに連結されている郵便車はスユ42形らしき、取扱使用郵便車の様です。この車輛は車内で郵便物を区分し集配最寄駅で郵便・小包を積み下ろしする車輛だったそうで、車内シーンのセットもスユ42形を想定した造りとなっています。
多額の現金を赤行囊と言う布袋に入れて郵便物として運ぶ割には、一般急行列車に連結してカギも掛からない車輛で混載して運んでいたとは驚きです。マニ34形等の日銀券輸送車とは扱いの発想が違った様ですね。
18枚目の画像から宮川刑事が赤行囊の投下地点の通過時刻を割り出す計算式と推定しますが、当時横浜~品川の所要時間は20分でしたので画像の28分は掛かり過ぎでは?と思って時刻表をよく読むと横浜~新橋の所要時間でした。(品川での停車時間を含む)
脚本家は時刻表の門司からの距離欄で横浜は1074.0㎞・品川1096.0㎞のところを新橋1098.9㎞の数値を間違えて使った様で、更に途中の計算式も間違えています。 24.9÷28=0.889 分速889mが正解 分速933mにはなり得ない。
メモの13.5を横浜駅~投下地点までの距離13.5㎞とすると、メモの6時07分30秒ではなく6時10分12秒となります。
更に正しい横浜~品川22.0㎞・所要20分から、13.5㎞の投下地点通過時刻は6時07分16秒です。(無理やり計算式で誤差14秒としていますが、実際には投下予定地点で待ち構えた森田の 14秒後に257m先の場所へ木村は投下した?)
日暮里駅近くで京成電鉄の高架線と立体交差する常磐線の踏切は(338.警視庁物語 夜の野獣)等でも登場するロケの名所だった様です。
木村の遺体発見現場近くで映る72系電車の最後尾には半室二等車が連結されています。本作公開の翌年101系電車(1959年まではモハ90系)の登場期に、中央線電車の二等車は廃止されました。(2023年度末に復活予定)
(鑑賞時に感動した本作だけに、重箱の隅を楊枝でほじくり過ぎでした! 反省!)


