
1951年10月 新東宝 製作 公開 監督 中川信夫
恩師の娘との 結婚話から逃避する為 浅間山麓の友人の元へ来た 植物学者 野村俊雄(水島道太郎)が、療養所の看護婦 泉ユキ(香川京子)と愛し合うも 義理で悩む様を描いた青春映画です。
序盤 野村が浅間山麓にある 光ヶ丘高原療養所へ向かう場面や 恩師の娘 伊福部啓子(南條秋子)が 野村の負傷を聞いて 駆け付ける場面でも、期待に反して 長閑に浅間山麓を行く 馬車は映っても 鉄道は出てきません。
野村と恋仲となったユキは 野村の友人でもある 医師 池島良寛(柳永二郎)や 女医の三神梢(相馬千恵子)から、恩師の婿養子となる 野村の為 身を引く様に説得され 思い余って 入水しかかり 皆の同情を呼びます。
幼い頃からユキを好いていた 戸田直吉(田崎潤)も 梢にユキと野村の仲を応援する様 懇願しますが、野村は恩師の病状悪化を 啓子から告げられ 一緒に上京することになりました。
終盤 療養所の皆から見送られ、啓子は野村と馬車に乗ります。別れを決意して 二階の窓越しに 涙顔で見送るユキの方向を、野村は未練が残りながらも 半ば諦め顔で見ています。
馬車が去った後 泣き暮れるユキを 梢が説得し、戸田が乗る馬にユキを乗せて 全力で馬車を追い駆けます。(ここからバックにテーマ曲「高原の駅よさようなら」が、ラストまで流れ 観客の涙を誘う!)
それでも 一足早く 駅に着いた野村と啓子は、信越本線 信濃追分駅の 駅名板付近で 汽車を待っています。

野村は心残りな表情で 駅名板の前を行ったり来たり、ラセン形の通票受柱を触ったりして 落ち着かない様子です。

やがて 汽車が駅に近付くと、戸田とユキが乗る馬も 駅が見えてきました。

汽車が減速して構内へ入って行くと、遂に追い付きます。

発車の汽笛が鳴る時

改札口手前でユキは降り、ラッチを外してホームへ入ります。

D50 形蒸機らしきの 動輪が動き始め、

ユキは野村の姿を捜して ホーム前方へ進みます。

その姿に気付いた野村は 向かい側の席に移動して、窓から顔を出して「泉クン」と呼びかけ

ユキも「野村さん」と返します。
ユキは駆け寄り 野村と握手を交わし

野村の「泉クン待っててくれ」の言葉を聞くと、ホーム端まで来たので「さようなら~」と今度は笑顔で手を振り 見送るのでした。


PS.
鉄道シーンとしては 最後の信濃追分駅での見送りシーンのみですが、バックに流れる 小畑実が歌う「高原の駅よさようなら」が実に印象深い作品に仕立てています。
戸田がユキを乗せて 馬で馬車を追い駆け、汽車が信濃追分駅に近付いた時に 漸く駅が見えてきました。豪快な性格の 役どころが多い田崎潤さんですが、本作では珍しく爽やかな青年役を演じてますね。
この当時の信濃追分駅舎は 無人駅の様に簡素で、馬で乗りつけても 直ぐに改札口からホームへ段差無しで入れるので ロケに選ばれたのでしょうね。
当ブログ【243.あの丘越えて】でも同時期の信濃追分駅が登場していますが、どちらも1枚目の画像で駅名板の左に人物が立っています。本作の画像では後方に白樺の木がありますが、【243】では反対の下り線ホーム側に白樺の木があります。
また本作では 駅名板の前に通票受柱がありますが、【243】では通票授柱が駅名板の前にあります。故に【243】は上りホームの前方の駅名板横であり、本作は後方の駅名板横でロケが行なわれたのです。
3枚目の画像の様に D50形蒸機牽引列車の2輌目に 二等車が連結されていて、この二人なら当然 二等車に乗ると思われます。しかしそれでは 発進して直ぐに 車輛がホームから外れてしまい、感動的な ユキと野村の別離シーンにならないのです。
最初は野村に「ここでは恋愛的感情は一切禁物」と宣言していた 三神梢女医が、戸田に頼まれると あっさりユキに「弱虫!幸せを自分から捨ててもいいの?女が一度逃した幸福は、二度と戻ってこないのよ 私が一番よく知っているわ」と説得する 見事な変身振りですね。
1951年6月に発売された小畑実が歌う「高原の駅よさようなら」が大ヒットし、新東宝が同年10月に公開した歌謡映画です。 低予算で いささか安直な筋立てですが、短期間に撮影・編集せねば ならない事情から 片目を閉じましょう。
恩師の娘との 結婚話から逃避する為 浅間山麓の友人の元へ来た 植物学者 野村俊雄(水島道太郎)が、療養所の看護婦 泉ユキ(香川京子)と愛し合うも 義理で悩む様を描いた青春映画です。
序盤 野村が浅間山麓にある 光ヶ丘高原療養所へ向かう場面や 恩師の娘 伊福部啓子(南條秋子)が 野村の負傷を聞いて 駆け付ける場面でも、期待に反して 長閑に浅間山麓を行く 馬車は映っても 鉄道は出てきません。
野村と恋仲となったユキは 野村の友人でもある 医師 池島良寛(柳永二郎)や 女医の三神梢(相馬千恵子)から、恩師の婿養子となる 野村の為 身を引く様に説得され 思い余って 入水しかかり 皆の同情を呼びます。
幼い頃からユキを好いていた 戸田直吉(田崎潤)も 梢にユキと野村の仲を応援する様 懇願しますが、野村は恩師の病状悪化を 啓子から告げられ 一緒に上京することになりました。
終盤 療養所の皆から見送られ、啓子は野村と馬車に乗ります。別れを決意して 二階の窓越しに 涙顔で見送るユキの方向を、野村は未練が残りながらも 半ば諦め顔で見ています。
馬車が去った後 泣き暮れるユキを 梢が説得し、戸田が乗る馬にユキを乗せて 全力で馬車を追い駆けます。(ここからバックにテーマ曲「高原の駅よさようなら」が、ラストまで流れ 観客の涙を誘う!)
それでも 一足早く 駅に着いた野村と啓子は、信越本線 信濃追分駅の 駅名板付近で 汽車を待っています。

野村は心残りな表情で 駅名板の前を行ったり来たり、ラセン形の通票受柱を触ったりして 落ち着かない様子です。

やがて 汽車が駅に近付くと、戸田とユキが乗る馬も 駅が見えてきました。

汽車が減速して構内へ入って行くと、遂に追い付きます。

発車の汽笛が鳴る時

改札口手前でユキは降り、ラッチを外してホームへ入ります。

D50 形蒸機らしきの 動輪が動き始め、

ユキは野村の姿を捜して ホーム前方へ進みます。

その姿に気付いた野村は 向かい側の席に移動して、窓から顔を出して「泉クン」と呼びかけ

ユキも「野村さん」と返します。
ユキは駆け寄り 野村と握手を交わし

野村の「泉クン待っててくれ」の言葉を聞くと、ホーム端まで来たので「さようなら~」と今度は笑顔で手を振り 見送るのでした。


PS.
鉄道シーンとしては 最後の信濃追分駅での見送りシーンのみですが、バックに流れる 小畑実が歌う「高原の駅よさようなら」が実に印象深い作品に仕立てています。
戸田がユキを乗せて 馬で馬車を追い駆け、汽車が信濃追分駅に近付いた時に 漸く駅が見えてきました。豪快な性格の 役どころが多い田崎潤さんですが、本作では珍しく爽やかな青年役を演じてますね。
この当時の信濃追分駅舎は 無人駅の様に簡素で、馬で乗りつけても 直ぐに改札口からホームへ段差無しで入れるので ロケに選ばれたのでしょうね。
当ブログ【243.あの丘越えて】でも同時期の信濃追分駅が登場していますが、どちらも1枚目の画像で駅名板の左に人物が立っています。本作の画像では後方に白樺の木がありますが、【243】では反対の下り線ホーム側に白樺の木があります。
また本作では 駅名板の前に通票受柱がありますが、【243】では通票授柱が駅名板の前にあります。故に【243】は上りホームの前方の駅名板横であり、本作は後方の駅名板横でロケが行なわれたのです。
3枚目の画像の様に D50形蒸機牽引列車の2輌目に 二等車が連結されていて、この二人なら当然 二等車に乗ると思われます。しかしそれでは 発進して直ぐに 車輛がホームから外れてしまい、感動的な ユキと野村の別離シーンにならないのです。
最初は野村に「ここでは恋愛的感情は一切禁物」と宣言していた 三神梢女医が、戸田に頼まれると あっさりユキに「弱虫!幸せを自分から捨ててもいいの?女が一度逃した幸福は、二度と戻ってこないのよ 私が一番よく知っているわ」と説得する 見事な変身振りですね。
1951年6月に発売された小畑実が歌う「高原の駅よさようなら」が大ヒットし、新東宝が同年10月に公開した歌謡映画です。 低予算で いささか安直な筋立てですが、短期間に撮影・編集せねば ならない事情から 片目を閉じましょう。


