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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

287.月光仮面 第一部

1958年7月 東映 製作 公開   監督 小林恒夫

開発に成功した新型爆弾の秘密を奪おうとする どくろ仮面一派と、月光仮面の攻防を描いたシリーズ第一作目のアクション映画です。

冒頭 タイトルクレジット部分から陸王の大型バイクに乗った月光仮面が、C58形蒸機牽引旅客列車を颯爽と追い越して行くシーンがあります。
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新型(HOジョー発爆弾)の実験が成功したと喜ぶ研究所から機密資料の入ったカバンが盗まれますが、祝十郎探偵(大村文武)の策略で機密資料は無事であった。
その後予備の実験用爆弾を安全な場所へ移す為 警察の警備の元 移送されますが、どくろ仮面一派に襲われ奪われた時 月光仮面が現れ カバンを奪い返して逃げます。

月光仮面がどくろ仮面の手下に追われ カバンを抱えながら跨線橋を渡ろうとした時、前方からも どくろ仮面が現れ
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挟み撃ちとなります。そして橋上でカバンを奪い合う格闘となります。
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狭い跨線橋上での格闘の末 カバンは橋の下へ落ちてしまい、丁度 走って来た旅客列車の屋根に乗って 去り行くのでした。
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跨線橋上からカバンを見る一同は、唖然とした様子です。
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どくろ仮面一派は車でC58形蒸機35号機牽引列車を追い駆けて、
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更に追い越して行きます。
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その時上空に月光仮面が操縦するヘリコプターが現れ、カバンを載せた列車を上空から確認しています。
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どくろ仮面は列車に先回りして車を走らせ、立体交差する橋の上から列車に飛び乗ります。そして屋根の上を前方のカバン目指して、足早に移動して行くのでした。
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あと一歩でカバンに手が届くという所で、ヘリコプターから伸びた鉤付きのロープにカバンは吊り上げられてしまいます。
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屋根の上で悔しがるどくろ仮面を残して、カバンは再び月光仮面の手に戻ったのでした。







PS.
 月光仮面がカバンを抱えて渡ろうとする跨線橋は、古いレールを使った人道橋らしきアーチ橋です。この特徴ある跨線橋は王子駅隣接の、飛鳥山下跨線人道橋と思われます。
 1925年製で現存していて、王子駅南口と飛鳥山公園を結んでいます。月光仮面の行く手を阻む どくろ仮面の背後には、移転した「紙の博物館」がかつてあったと思われます。
 61年たった現在の様子を紹介すると、保安設備が強化されてはいますが橋の基本構造に変化は見られません。
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 C58形蒸機35号機は当時 高崎第一機関区所属で、走っていたのは八高線や両毛線と思われます。どくろ仮面一味が乗るオープンカーが列車を負い越し始めた時、線路沿に22㎞ポストが立っていました。
 八高線でも旅客列車を牽いていましたので22㎞ポストは金子~東飯能にあり、所謂金子坂を登って来た上り列車です。金子と飯能を結ぶ道路と並走する区間に当り、撮影にはピッタリの場所ですね。両毛線の方は、22㎞ポイントでは道路と並走していません。


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286.黒い樹海

1960年12月 大映製作公開   監督 原田治夫

東北へ向かった姉が何故か浜松で事故死し 死因に疑問を感じた妹の笠原祥子(叶順子)が、週刊誌記者の吉井正己(藤巻潤)協力の元 死の真相に迫るサスペンス映画です。

姉がバス事故死した時に同乗していた斎藤常子(山川愛子)に会いに山梨県の波高島の実家まで行った祥子は、姉の同行者を割り出す首実検の為 上京してもらい新宿駅で待ち合わせする約束を交わします。
ところが約束の日 祥子と吉井は白馬号に乗って来る常子を新宿駅で出迎えますが、
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予定通り白馬号は到着したのに常子は現れません。
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もしやと広い新宿駅の南口・西口・東口を二人で捜しまわり、更に構内放送をしてもらいますが会うことができません。
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その後 殺された常子の遺体が南武線矢野口駅近くで発見され、警察で聞いてみると立川で途中下車した切符が見つかったそうです。
祥子が常子の実家から帰宅した時、吉井に常子が明後日 白馬号で来ると話しました。それをアパートの管理人が聞いて犯人に通報したので、先回りされ立川駅で降ろされて矢野口で殺されたと祥子達は推理しました。

立川駅ホームで祥子と吉井は、ベンチで列車を待ちながら相談します。
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「犯人は我々の動きに感付いている様だ」と吉井が言い、祥子は自分と同じブローチをお守りに着ける様に渡します。
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二人の背後には8620形らしき蒸機が停車しています。貨車の入換作業を担っている八王子区のカマでしょうか。
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列車が来たのでデッキから車内へ入ると、祥子達が臭いと疑う画家の鶴巻莞造が座っています。
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祥子が声を掛けると「珍しい所で会うもんだね」と、慌てた様子で応えています。
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PS.
 
 バス事故での目撃者 常子が上京した過程は、身延線 波高島駅を 12:10発 623レに乗り 13:16に甲府着 13:49発の新宿行 408レ準急白馬号に乗り換え 15:56立川で降ろされたと思われます。
 本来は 16:30着の終点新宿まで乗り、祥子と会う約束でした。

 ホームで白馬号のサボを架けたオハフ61形客車の前で祥子達は常子に会えなく慌てますが、準急白馬号は 1960年4月には既にDC化されていますのでこれは実在の姿ではないと思われます。
 またオハフ61は背ずりが板張りでシートピッチも狭く、限りなく普通列車用の客車でした。PC列車時代でもさすがにこの車輛を、準急白馬号には使わなかったと思います。

 立川駅と思われるホームにいる 8620形らしき蒸機は八王子機関区所属で、立川や国分寺などの中央線貨物取扱各駅で入換仕業を担っていたそうです。
 

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