
1960年1月 東宝製作公開 監督 成瀬己喜男
銀座で雇われマダムをしている矢代圭子(高峰秀子)を中心に、水商売の世界で生きる女性の悲哀を描いた映画です。
圭子の店で働く みゆき(横山道代)が馴染み客の松井(藤木悠)と結婚することになり、松井の実家が在る 静岡へ行く二人を圭子が見送るべく東京駅へ来ました。

松井が売店へ向かうと みゆきが、「こんな時くらい二等に乗ればいいのに」と愚痴ります。圭子は「そこが彼のいいところよ 結婚したら辛抱しなくちゃ」と返します。
すかさず みゆきは「田舎の義父なんか上手く丸め込んじゃうわ、酔っ払いより簡単だから」と笑って話します。

松井は雑誌を買って戻ると、「静岡から近いですから寄って下さい」と挨拶します。背後に見える丸の内駅舎の台形ドームが、今となっては懐かしいですね。

銀行支店長の藤崎信彦(森雅之)は妻子ある身なれど圭子の店に通い、いつしか相思相愛らしき関係となります。
しかし圭子の家で一夜を過ごすと「大阪へ転勤することになった」と告げ、まるで手切れ金代わりの様に「売れば十万円位になる」と株券を渡すのでした。
そして転勤の日 東京駅 14番線の大阪行急行列車に乗って知り合いから見送りを受けている藤崎の元へ、圭子は株券と手土産を持って現れます。

離れて圭子が会釈すると、藤崎は狼狽した様子です。

窓際に進むと、「奥様ですか この度はご栄転おめでとうございます」と藤崎の妻 志津子(東郷晴子)に挨拶します。
圭子は「これ支店長さんからお借りしたものなので、お返しします」と 株券の入った封筒を志津子に渡します。

志津子は「いいんですか あなた」と藤崎に言うと、苦し気に「う・うぅん」と曖昧に返事します。
更に「これ お子さんに」と手土産を志津子に渡します。

志津子は藤崎に「あなた!」と たたみかけたので、「いや どうも・・」と簡単に謝意を表すのがやっとです。
EF58形電機らしきのホイッスルが響き列車が動き出すと、圭子は満足気な顔で見送るのでした。

走り出してからのセット撮影らしき車内シーンでは、うつむく藤崎に志津子の尋問が続きます。

「綺麗な人ね」「う・うぅん」・・・「きちんとして、バーの人じゃないみたい」「う・うぅん」・・・と、藤崎は冷や汗をかいて曖昧な返事をするのがやっとの様子です。

PS.
東京駅 15番線で、圭子は松井とみゆきを見送ります。乗る列車はまだ来ない様ですが、16:35発 309レ準急東海3号が推定されます。これに乗ると静岡には 19:33の到着で、三等の切符に 120円の準急券を足すだけです。
この後 15番線からは 17:00発339レ浜松行がありますが、静岡到着が 21:21となってしまいます。
藤崎が転勤する際東京駅 14番線から乗った大阪行の急行列車を推理してみます。暗くなってからの大阪行は夜行列車であり、二等車を連結していているのは 20:15発の 13レ急行明星と 21:45発の 17レ急行月光です。
発進場面で車体中央にスロ5までぼんやりと見えるので、スロ54を連結していた急行月光と思われます。
銀座で雇われマダムをしている矢代圭子(高峰秀子)を中心に、水商売の世界で生きる女性の悲哀を描いた映画です。
圭子の店で働く みゆき(横山道代)が馴染み客の松井(藤木悠)と結婚することになり、松井の実家が在る 静岡へ行く二人を圭子が見送るべく東京駅へ来ました。

松井が売店へ向かうと みゆきが、「こんな時くらい二等に乗ればいいのに」と愚痴ります。圭子は「そこが彼のいいところよ 結婚したら辛抱しなくちゃ」と返します。
すかさず みゆきは「田舎の義父なんか上手く丸め込んじゃうわ、酔っ払いより簡単だから」と笑って話します。

松井は雑誌を買って戻ると、「静岡から近いですから寄って下さい」と挨拶します。背後に見える丸の内駅舎の台形ドームが、今となっては懐かしいですね。

銀行支店長の藤崎信彦(森雅之)は妻子ある身なれど圭子の店に通い、いつしか相思相愛らしき関係となります。
しかし圭子の家で一夜を過ごすと「大阪へ転勤することになった」と告げ、まるで手切れ金代わりの様に「売れば十万円位になる」と株券を渡すのでした。
そして転勤の日 東京駅 14番線の大阪行急行列車に乗って知り合いから見送りを受けている藤崎の元へ、圭子は株券と手土産を持って現れます。

離れて圭子が会釈すると、藤崎は狼狽した様子です。

窓際に進むと、「奥様ですか この度はご栄転おめでとうございます」と藤崎の妻 志津子(東郷晴子)に挨拶します。
圭子は「これ支店長さんからお借りしたものなので、お返しします」と 株券の入った封筒を志津子に渡します。

志津子は「いいんですか あなた」と藤崎に言うと、苦し気に「う・うぅん」と曖昧に返事します。
更に「これ お子さんに」と手土産を志津子に渡します。

志津子は藤崎に「あなた!」と たたみかけたので、「いや どうも・・」と簡単に謝意を表すのがやっとです。
EF58形電機らしきのホイッスルが響き列車が動き出すと、圭子は満足気な顔で見送るのでした。

走り出してからのセット撮影らしき車内シーンでは、うつむく藤崎に志津子の尋問が続きます。

「綺麗な人ね」「う・うぅん」・・・「きちんとして、バーの人じゃないみたい」「う・うぅん」・・・と、藤崎は冷や汗をかいて曖昧な返事をするのがやっとの様子です。

PS.
東京駅 15番線で、圭子は松井とみゆきを見送ります。乗る列車はまだ来ない様ですが、16:35発 309レ準急東海3号が推定されます。これに乗ると静岡には 19:33の到着で、三等の切符に 120円の準急券を足すだけです。
この後 15番線からは 17:00発339レ浜松行がありますが、静岡到着が 21:21となってしまいます。
藤崎が転勤する際東京駅 14番線から乗った大阪行の急行列車を推理してみます。暗くなってからの大阪行は夜行列車であり、二等車を連結していているのは 20:15発の 13レ急行明星と 21:45発の 17レ急行月光です。
発進場面で車体中央にスロ5までぼんやりと見えるので、スロ54を連結していた急行月光と思われます。


