
1959年3月 日活 製作 公開 監督 舛田利雄
鉱山で栄える町でダンプの運転手として働き出した 城俊次(石原裕次郎)が、社長の死からライバル会社の陰謀を暴き 捜しに来た 従妹 矢代ユミ(北原三枝)と帰京に至るアクション映画です。
山一運送で働く城が鉱石を積んだダンプで線路沿いの道を走ると、半車二等を二両目に繋いだ 蒸機牽引列車と並走して行きます。

舞台設定は北関東の鉱山町宇山という架空町ですが、茨城県日立でロケが行われた様です。長い編成からして常磐線の普通旅客列車の様です。
続いて 鉱山の製錬所の門からダンプが次々と出発して行くシーンでは、バックに日立鉱山鉄道の電機が貨車を牽いて来る姿がチラリと映ります。

その後もこの専用線沿いの道路をダンプが走るシーンが度々ありますが、残念なことに列車がアップで映っている場面はありません。
城達が運んだ荷を日立セメント日立工場横で国鉄の貨車に積み替えるシーンでは、横をD51形蒸機が牽く貨物列車が黒煙を噴き上げながら通り過ぎて行きます。

ここでは山一運送とライバルの三国運輸との間で度々揉め事が起きます。山一の西岡茂(武藤章生)の車が三国のダンプにワザとぶつけられ 喧嘩が始まると、背後をC57形蒸機牽引列車が通ります。
助けに駆け付けた城と三国の頭 安西勇(宍戸錠)が対峙した場面では、背後を当時 東北で唯一の特別急行 はつかり号が高速で走り抜けて行く姿が映っています。
C62形蒸機を先頭に スハニ35・スハ44と続く客車は、一目で特急と分かる青地にクリーム色の二本線が特徴です。上り 2レの様で、平~水戸がノンストップなので通過時刻は 15:00少し前でしょう。


次に C5744蒸機が牽く急行列車が宇山駅に到着します。アフレコらしき放送で「宇山・宇山」と連呼しますが、北関東地方なのに冒頭「青森行が到着します」と日立駅らしく加えているのは・・・

二・三等合造車の二等車側デッキから車内で知り合ったらしい、宇山鉱業総務部長 杉野(清水将夫)と城の従妹 矢代ユミが降りてきました。ユミは杉野の口添えで、鉱山会社の厚生施設で働けることになります。

三国運輸に依る運転手の引き抜きや妨害から輸送量の減った山一運送は、宇山鉱業交運課長 佐野(高原駿雄)から遠隔地で地獄谷と呼ばれるセメント山での仕事への変更を命じられます。
山一社長 山田一郎(二谷英明)と城は地獄谷で渋々働きますが、山田は過酷さにキレて夜中に索道を使って町へ行き 三国一派に殺されてしまいます。この索道は大平田鉱山から4㎞あり、専用線に繋がっていました。
城は警察署で殺人事件として捜査を願いますが、単なる事故として処理されてしまいます。署内で佐野課長を見かけたので、迫り来る鉱石列車の前を横切り 追いかけて詰問しますが否定するばかりです。

この鉄道は索道終点から日立セメントの工場まで3㎞を結んで、1963年のベルコン化まで働いていた軽便専用鉄道です。加藤製作所の4トン級らしき内燃機が、汽笛を鳴らしながら木造鉱車を牽いて ゆっくり走っています。
その後 城の活躍で事件は解決し、山田の残された家族が安心して暮らせる目途が立ったので城は東京へ帰ることにします。日立駅横の日立鉱山鉄道 助川荷扱所へ至る引込線の踏切を、

城が車に山田未亡人と息子を乗せて渡ります。

そこで新しくできた宇山運輸のトラックに乗る西岡に会い停車します。背後には国鉄の貨車に比べて明らかに小さい、日立鉱山鉄道の軌間762ミリ軽便鉄道貨車が並んでいます。

ラストシーンでは西岡のトラックの荷台に、城とユミが便乗して東京へ向かうのでした。その横をC57形蒸機らしきが、半車二等を含む11両も長々と牽く旅客列車とすれ違いエンドマークとなります。

PS.
当時 常磐線の優等列車は日中 気動車準急ときわ1~3号が主体で、下りの急行列車は 201レみちのく号しかありません。みちのく号は二等車を3両も連結した名列車でしたから、普通列車に急行札を刺してロケが行われたと思われます。
みちのく号は時刻表では盛岡行となっていましたが、殆どの期間 青森までの延長運転をしていた様です。
1958年10月から運行開始した特別急行はつかり号ですから、開始から僅か4か月後の姿です。40分前に通過している下り 1レを入れて映してほしかったですね。(ヘッドマークが映ったので、架空町に拘わって撮り直したか)
常磐線の蒸機が度々登場する作品ですが、映画公開の3年後 1962年10月に勝田~高萩が電化され消えていきました。
日立鉱山鉄道は助川荷扱所から製錬所のある大雄院まで5.35㎞を結んでいました。貨物だけでなく人も途中に芝内・杉本停留場も設けて、明治期より無料で末期でも毎日6500人も運んでいました。
しかしこの映画で描かれている様に 輸送の近代化と施設の老朽化の為、映画公開の翌年 1960年10月をもって廃止されました。人員輸送は5ヶ月早く終了していますが、本編に登場していないのが残念ですね。
鉱山で栄える町でダンプの運転手として働き出した 城俊次(石原裕次郎)が、社長の死からライバル会社の陰謀を暴き 捜しに来た 従妹 矢代ユミ(北原三枝)と帰京に至るアクション映画です。
山一運送で働く城が鉱石を積んだダンプで線路沿いの道を走ると、半車二等を二両目に繋いだ 蒸機牽引列車と並走して行きます。

舞台設定は北関東の鉱山町宇山という架空町ですが、茨城県日立でロケが行われた様です。長い編成からして常磐線の普通旅客列車の様です。
続いて 鉱山の製錬所の門からダンプが次々と出発して行くシーンでは、バックに日立鉱山鉄道の電機が貨車を牽いて来る姿がチラリと映ります。

その後もこの専用線沿いの道路をダンプが走るシーンが度々ありますが、残念なことに列車がアップで映っている場面はありません。
城達が運んだ荷を日立セメント日立工場横で国鉄の貨車に積み替えるシーンでは、横をD51形蒸機が牽く貨物列車が黒煙を噴き上げながら通り過ぎて行きます。

ここでは山一運送とライバルの三国運輸との間で度々揉め事が起きます。山一の西岡茂(武藤章生)の車が三国のダンプにワザとぶつけられ 喧嘩が始まると、背後をC57形蒸機牽引列車が通ります。
助けに駆け付けた城と三国の頭 安西勇(宍戸錠)が対峙した場面では、背後を当時 東北で唯一の特別急行 はつかり号が高速で走り抜けて行く姿が映っています。
C62形蒸機を先頭に スハニ35・スハ44と続く客車は、一目で特急と分かる青地にクリーム色の二本線が特徴です。上り 2レの様で、平~水戸がノンストップなので通過時刻は 15:00少し前でしょう。


次に C5744蒸機が牽く急行列車が宇山駅に到着します。アフレコらしき放送で「宇山・宇山」と連呼しますが、北関東地方なのに冒頭「青森行が到着します」と日立駅らしく加えているのは・・・

二・三等合造車の二等車側デッキから車内で知り合ったらしい、宇山鉱業総務部長 杉野(清水将夫)と城の従妹 矢代ユミが降りてきました。ユミは杉野の口添えで、鉱山会社の厚生施設で働けることになります。

三国運輸に依る運転手の引き抜きや妨害から輸送量の減った山一運送は、宇山鉱業交運課長 佐野(高原駿雄)から遠隔地で地獄谷と呼ばれるセメント山での仕事への変更を命じられます。
山一社長 山田一郎(二谷英明)と城は地獄谷で渋々働きますが、山田は過酷さにキレて夜中に索道を使って町へ行き 三国一派に殺されてしまいます。この索道は大平田鉱山から4㎞あり、専用線に繋がっていました。
城は警察署で殺人事件として捜査を願いますが、単なる事故として処理されてしまいます。署内で佐野課長を見かけたので、迫り来る鉱石列車の前を横切り 追いかけて詰問しますが否定するばかりです。

この鉄道は索道終点から日立セメントの工場まで3㎞を結んで、1963年のベルコン化まで働いていた軽便専用鉄道です。加藤製作所の4トン級らしき内燃機が、汽笛を鳴らしながら木造鉱車を牽いて ゆっくり走っています。
その後 城の活躍で事件は解決し、山田の残された家族が安心して暮らせる目途が立ったので城は東京へ帰ることにします。日立駅横の日立鉱山鉄道 助川荷扱所へ至る引込線の踏切を、

城が車に山田未亡人と息子を乗せて渡ります。

そこで新しくできた宇山運輸のトラックに乗る西岡に会い停車します。背後には国鉄の貨車に比べて明らかに小さい、日立鉱山鉄道の軌間762ミリ軽便鉄道貨車が並んでいます。

ラストシーンでは西岡のトラックの荷台に、城とユミが便乗して東京へ向かうのでした。その横をC57形蒸機らしきが、半車二等を含む11両も長々と牽く旅客列車とすれ違いエンドマークとなります。

PS.
当時 常磐線の優等列車は日中 気動車準急ときわ1~3号が主体で、下りの急行列車は 201レみちのく号しかありません。みちのく号は二等車を3両も連結した名列車でしたから、普通列車に急行札を刺してロケが行われたと思われます。
みちのく号は時刻表では盛岡行となっていましたが、殆どの期間 青森までの延長運転をしていた様です。
1958年10月から運行開始した特別急行はつかり号ですから、開始から僅か4か月後の姿です。40分前に通過している下り 1レを入れて映してほしかったですね。(ヘッドマークが映ったので、架空町に拘わって撮り直したか)
常磐線の蒸機が度々登場する作品ですが、映画公開の3年後 1962年10月に勝田~高萩が電化され消えていきました。
日立鉱山鉄道は助川荷扱所から製錬所のある大雄院まで5.35㎞を結んでいました。貨物だけでなく人も途中に芝内・杉本停留場も設けて、明治期より無料で末期でも毎日6500人も運んでいました。
しかしこの映画で描かれている様に 輸送の近代化と施設の老朽化の為、映画公開の翌年 1960年10月をもって廃止されました。人員輸送は5ヶ月早く終了していますが、本編に登場していないのが残念ですね。


