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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

215.銀座の次郎長

1963年6月 日活製作公開  カラー作品   監督 井田深

「暴れん坊」シリーズ4作目で 人手不足に悩む 清水次郎(小林旭)を中心とする銀座若旦那会と、竜巻熊太郎(嵯峨善兵)が会長であるヤクザ組織 竜巻クラブとの争いをコメディタッチで描いた映画です。

冒頭 銀座4丁目交差点を松坂屋デパート屋上方向から俯瞰したシーンがあり、都電1系統か22系統でしょうか上下電車が交差点ですれ違っています。
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人手不足解消の為 清水長五郎(中村是好)と横川金作(桂小金冶)がスカウトの為 東北へ向かう場面で、先ずD52形蒸機牽引する5連列車が走り抜けます。御殿場線でのロケと思われます。
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続いて県知事への紹介状によってスカウトした集団就職生を清水と横川が引き連れて、「まむろ川商店街」と横書きされた門を潜って駅に到着します。(門の柱には、相原町商店連合会と書かれています)
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ところが汽車は出たばかりで、次の列車は2時間後です。二人はホームへ出て困っていると、ポン引きが飲み屋へと勧誘します。その際 二人の背後の駅名板は、(はしもと←相原→かたくら)と読めます。
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この場面で駅は電化路線の上下交換駅であり、線路の先は単線の模様です。山形県真室川地方を示唆しているこの駅は、前述の様子から国鉄横浜線の相原駅でロケが行われたと思われます。
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当時 奥羽本線は約全線非電化路線であり、真室川駅付近が電化されたのは 1975年でした。せめて川越線等の非電化路線駅でロケしてほしいところですが、これもコメディ映画としての演出でしょうか?

清水達が居ない間に竜巻クラブの連中によって、集団就職生は連れて行かれてしまいます。この際 D52形蒸機牽引列車がアップで走り抜けるシーンがあり、上京する列車を示唆しています。
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その後 二人はイイ気分で駅に戻ると集団就職生は待合室から消えており、仕方なく三太(野呂圭介)が連れてきた就職浪人生の連中を東京へ連れて行くことになります。
汽笛が聞こえるとヤエ(若水ヤエ子)の号令で、一団は改札口を強引に抜けます。待合室から改札口はセット撮影の様で、柱には新庄方面と表示され 壁の駅名板は(しんでん←相原)と読めます。
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その後 銭湯の娘 松田秀子(笹森礼子)が銭湯廃業の件を次郎に相談する際、銀座通り銀座六丁目付近を都電6000形らしき 1系統品川行が同色の小型三輪車を従えて走る姿が映っています。
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更に「BARあるまん」のマダム リラ子(小園蓉子)が秀子に手紙を渡す場面では、背後に銀座四丁目交差点から都電 22系統新橋行の 7000形電車が迫っている場面があります。
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214.にっぽん泥棒物語

1965年5月 東映 製作 公開   監督 山本薩夫

泥棒が裏稼業の林田義助(三國連太郎)は土蔵破りに失敗して 逃走の途中で、列車転覆事件の犯人に遭遇したことから真実を語ることで被る不利益と平安な生活とで悩むコメディタッチの社会派映画です。

林田は保釈中に拘置所内で知り合った馬場庫吉(江原真二郎)と土蔵破りを図ります。馬場と待ち合わせの杉山駅(架空駅)を出ると、
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駅前では国鉄の人員整理反対署名活動で賑やかです。
駅構内では、8620形らしき蒸機が入換作業中の様です。
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二人で高台から目当ての呉服店を偵察していると、右方向の築堤をD51形らしき蒸機が貨物列車を牽いて豪快に黒煙を吹き上げながら走り抜けて行きます。
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山本監督が前作「松川事件」と同様 佐倉付近でロケを行ったとすれば、総武本線 佐倉~物井の旧線が候補の1つに想像できます。

深夜に大竹呉服店の土蔵破りに失敗した林田と馬場は、線路沿いに逃走する途中で9人の大男とすれ違ったのです。その夜明け 半鐘が連打される音で気付いた林田は、列車転覆事故を知ります。
林田は村人達と走って事故現場へ駆け付けると、停車している列車の最後部では車掌か警官がヤジウマ達を進行 左側へと誘導しています。
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そして最前部へ行くと、C51133 のプレートを付けた蒸機がひっくり返って未だ蒸気を上げています。実際の事故映像の短いカットと煙室扉部分のセットを組み合わせて臨場感を盛り上げています。
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その後 高橋はな(佐久間良子)と結婚して幸せになり 列車転覆事件から10年以上経ったある日、杉山事件弁護団が訪ねて来て 馬場が事件当夜に逮捕された3人とは違う9人の男と会った証言をすると聞いて東京へと向かいます。
上野駅から迎えの車に乗った前を都電8000形らしきが走っています。
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保釈中に起こした土蔵破りが発覚して収監され 平穏な生活が壊れるのを恐れる林田は、警察の思惑通り3人に会ったと言い通すのでした。

東京に集まった面々が帰る時上野駅地平13番線で、昔 拘置所で出会った杉山事件の犯人 木村信(鈴木瑞穂)と再会します。木村は息子(金子吉延)同伴で来ており、冤罪犯親子の境遇に涙し 考えを変える林田でした。
13番線には 9:30発 703M 急行佐渡 新潟行が停まっています。14番線停車中の旧客は、9:40発 601ㇾ急行白山 金沢行と思われます。ホーム端にはこの時代、準急・急行券売り場があります。
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最後の画像で 13番線端の木村親子の背後の、15番線にEF57形電機らしきが到着しています。宇都宮 7:40発の普通 524ㇾで、10:04に到着した普通列車と思われます。
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