日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

152.新網走番外地 大森林の決斗

1970年8月 東映 製作 公開  カラー作品   監督 降旗康男

新網走番外地シリーズ第4作 末広勝治(高倉健)が網走刑務所内で庄司富士夫(北村晃一)が理不尽にも嵐田源二(山本麟一)から付け狙われるのを助ける内、男気から爆発するその不器用な生き様を描く映画です。

昔の恨みから庄司木材を潰して地域木材業の独占を狙う嵐田剛(須藤不二男)が、弟の嵐田源二と看守 黒部(今井健二)とも組んでの悪巧みから庄司は殺され 手先の力石勇(宍戸錠)の口から末広は裏のカラクリを聞かされます。
男気から怒りに燃えた末広は、嵐田産業へ殴り込みを決意して脱獄します。追われる身ながら馬に乗って高台に上った末広の眼下には、釧路湿原らしき中を走るC58形蒸機牽引の混合列車の姿があります。
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続いて夜の操車場らしき中 C11形蒸機が牽く貨物列車が勢いよくドレンを切りモウモウと白い蒸気を吹き出しながら通過して行き、蒸気が消えて行くと末広の姿が線路端に現れます。
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このシーン バックに流れる網走番外地の歌(唄 高倉健)が伴い 演出効果は抜群で、これから始まる網走番外地シリーズ共通の見せ場の冒頭を盛り上げています。

そして殴り込みとなり、操車場の片隅(として設定したセット)に3人を追い込みます。線路の行き止まりには 車止めが有り、手前から分岐して方にワム有蓋貨車が停まっていて その前後に3人は潜んでいます。
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ドスを持った末広が、線路をゆっくりと歩いて近付いて来ます。左手の物陰から一人目が飛び出し、末広に斬りかかりますが返り討ちに遭い 分岐した線路上に倒れました。

末広は止めを刺そうとしたのか、背後を警戒しながらワムの取っ手に力を込めて男の体を轢いてしまいます(凄い!)。それを見た第2の男が斬りかかりますが、あっさりとヤラレてしまいます。
最後に残った着物姿の嵐田剛も、車止め近くで末広に斬られ全滅です。このシーン 手の込んだセットを組んでの撮影の様ですが、ぶっきら棒の分岐器とワムの車輪がチョットねェ・・・
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ラストシーンは、仕事の終わった末広がドスを持って先の操車場に停車しているC11形蒸機の前方を歩いてます。蒸機の後方からライトが当てられ、吹き出す白い蒸気が幻想的に映っています。
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そして末広がフレーム外に出ると、蒸機が力強くドレンを切りBGMと共にエンドマークとなりました。C11といえば当時道東では標津線ですが、ロケ地が思いつきません。釧路操車場内での撮影では?と思われます。



PS.高倉健 氏のご冥福をお祈りいたします。

当ブログにおいて( 13.新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬 )( 19.大脱獄 )( 48.網走番外地 )で、高倉健 氏 出演作を取り上げております。

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 151. 私が棄てた女

1969年9月 日活 製作 公開   監督 浦山桐郎

シミズ自動車営業主任の吉岡努(河原崎長一郎)は 60年安保学生運動での挫折から女工 森田ミツ(小林トシエ)の肉体に溺れるも逃げ棄ててしまいます。出世の為 社長の姪との結婚を画策するもミツが忘れられない男で、その生き様を描く映画です。

吉岡は狙った社長の姪 三浦マリ子(浅丘ルリ子)とつきあい始めますが、マリ子は社長から縁談を持ち込まれます。上司の奥さんの見送りに東京駅 13番線 横須賀線ホームに来た吉岡は、売店で買い物をしているマリ子に明日の縁談をスッポカす様告げます。
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しかしマリ子は「今はお芝居しているしかない」と言い、「明日は来いよ」と言いながらマリ子が後ろを付いて来ると思った吉岡に反し乗車。ドアの閉まった久里浜行の一等車デッキから手を振り怒る吉岡をホームに残して走り去って行きました。
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この映画公開年の 5月10日から国鉄は長年続いた等級制からモノクラス制となり、従来の一等車はグリーン車で二等車は普通車となりました。ロケはこの改定後に行われたと思われますが、未だ一等車表示でグリーンマークではありません。
特急・急行列車の標示改訂を優先して、普通列車は後回しだったのかもしれません。この頃 横須賀線は朝夕以外全て横須賀行で、久里浜へは横須賀乗換でした。故に構内放送は、12:41発の部分も含め架空のアフレコと思われます。
ちなみに同時に運賃値上げもあって東京~横須賀での支払額を比較すると、改定前は二等 230円・一等 430円だったのが改定後は普通 280円・グリーン車 530円でした。現在では普通 1080円・グリーン 2060円(平日・事前料金)

次に五反田駅近くで、偶然吉岡とミツが再会します。ミツは吉岡から棄てられた後、色々な仕事で生き延び 荒んだ様子です。ミツが住むアパート前での短い会話ですが、背後の高架線上を池上線の3連が五反田駅へと到着します。
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3000系3連ですが、1928年完成とは思えぬ高さで高架の山手線を乗り越える様に池上線五反田駅ホームがあります。二人がいる目黒川沿いの場所は、現在ホテル・ロイヤルオーク五反田が建っている所です。

中盤 回想シーンですが逗子海岸の小屋にミツを置き去りにして、逗子駅1番線から一人横須賀線の東京行に乗ろうとする吉岡の姿をグリーンフィルター越で映した様な映像があります。
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逗子駅1番線 上りホームで待つ吉岡の前に 113系横須賀線電車が到着します。この映画はパートカラー作品であり、ミツが故郷を回想する場面では相馬野馬追等をカラー画面で映っています。

ミツが転がり込んで住む家の 森田キネ(岸輝子)が鉄道自殺しようとする姿を、ミツが跨線橋上から見かける場面があります。線路上に座り込むキネを近所の奥さん方が線路外に出そうとしています。
そこへEF13型電機+EH10型電機が牽引する貨物列車がホイッスル音と共に近付いて来ます。それを見た奥さん方に続いてキネも自分で、線路外へ退去しました。
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ここは東海道新幹線の高架下を走る品鶴貨物線(現在は横須賀線等も走行)で、次位のEH10電機は二両一組の当時最大最強の電気機関車でした。


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150.キーハンター 第 161話              荒野の列車大襲撃作戦

1971年5月 製作 TBS・東映  放送 TBS系列  監督 竹本弘一

東京に国際警察特別室がある設定で、メンバー(キーハンター)が警察に対処できない反社会組織や悪との戦いを描くアクションドラマです。

150 回記念に初のテレビ放送番組を取り上げます。航空機爆破のテロリスト リコ(深江章喜)を逮捕した国際警察ですが、メンバーの谷口ユミ(大川栄子)が誘拐され人質交換となり指定された尾小屋鉱山跡へ向かいます。
キーハンター 風間洋介(千葉真一)と壇俊介(宮内洋)がリコを連れて、尾小屋鉄道 新小松駅へ到着します。
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停車している 5号蒸機を先頭にした列車の後部からハフ2オープンデッキ客車に周囲の様子を見ながら乗車します。
この列車は、5号蒸機+ホハフ3+ハフ1+ハフ2+無蓋長物貨車ダボ 1200+有蓋貨車ワフ3という編成です。
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ロングシートに3人並んで座ると発車ベルが鳴り、風間がホームの方を見ると赤旗を持った駅員がチラチラこちらを見ながら歩いています。怪しいと感じた風間が外へ出ると、その駅員は拳銃を発砲してきました。
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風間が後を追うと その男は制服を脱いで更に発砲してきて、物陰に足止めされてしまいます。 汽笛と共に壇とリコが乗る汽車は発進して行き、敵の作戦に乗ってしまった風間は新小松駅に取り残されてしまいました。

列車内では登山者らしき服装をした敵のメンバーに壇は襲われ、リコを奪還されてしまいます。一方 風間は新小松駅まで乗ってきたジープで列車を追跡し、倉谷口隧道出口上部からホハフ3客車の屋根に飛び降り追い付き ました。
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風間は屋根の上を移動しながら車内を覗いて壇を捜しますが、バランスを失って客車の外壁にぶら下った状態です。
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それでも何とか体勢を立て直し、ワフ3有蓋車から落とされる寸前の壇を助け出すことができました。
リコは奪還されましたが 恋人のアキ(原良子)を捕まえたので、改めてユミとアキの人質交換が尾小屋鉱山跡で行われました。しかしその直後 キーハンターメンバーは、敵の銃火に囲まれピンチとなり続く・・・

次の第 162話 蒸気機関車大渓谷の決闘 ではリコが組織に裏切られたことを知り、風間と共に尾小屋鉄道で脱出を図ります。風間が5号蒸機を発進させますが、敵に気付かれ対決しつつ足を負傷しているリコをダボ 1200に乗せます。
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更に肩を撃たれ列車から落ちた風間が追跡して再び客車の屋根に飛び乗ろうとして再度転落するもリコに助けられながら、ダボ 1200に乗り込めたのも無蓋フラットな荷台ならではの特徴を生かしていると思います。
その後 走行中の客車屋根上での迫力ある格闘アクションシーンもあります。
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また 162話の方が景色の良い所での走行シーンが多い様で、大杉谷口~今野町の梯川橋梁を渡る場面や郷谷川沿を走る場面など尾小屋鉄道の魅力満載です。
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5号蒸機はC15形5号で、C155というプレートでも走っていました。主に降雪期の除雪用に使われ、晩年はイベントや本作の2年前 1969年5月18日 日活映画「あらくれ」のロケでも走りました。(公開は6月14日)
作中で鬼頭善吉(小林旭)が観音下{かながそ}駅で5号機牽引列車から降りるシーンなどがあります。1972年には有名な松竹映画「男はつらいよ 柴又旅情」で金平駅で寅さんがDCに乗るシーンがあります。
そしてこの日本最後の非電化軽便鉄道も 1977年3月19日の運行を最後に廃止となりました。本作に登場した5号機とハフ1は小松市立ポッポ汽車展示館で静態保存 ホハフ3がいしかわ子ども交流センター小松館にある「なかよし鉄道」で動態保存されています。

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 149. 千曲川絶唱

1967年2月 東京映画 製作  東宝 配給 公開   監督 豊田四郎

難病である白血病に罹ったトラック運転手 五所川肇(北大路欣也)と病院看護婦 浮田奈美(星由里子)の純愛映画です。

五所川が白血病の疑いが濃いので医師の岩倉秀(平幹二郎)は、 奈美に好意を持ってる五所川を受診させる為 奈美に一役かってくれと頼みます。
デートの後受診する約束で会い 柏崎駅の改札口を一緒に通ろうとすると、五所川は帰ってしまい 奈美は怒って列車に向かって行きます。
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その後病状が進行する中で、二人は患者と看護婦の関係から共に愛情を抱く様になります。しかし奈美には以前からの許婚がいるので、親に話す為実家へ向かいます。
奈美が柏崎駅のホームで列車を待つ頃
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五所川は病院で実家へ向かったことを聞き、誤解してトラックで駅へ急行し ホームまで駆け付けますが既に発車後で間に合いませんでした。
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ヒートアップした五所川は、列車を追い掛けようと トラックを猛然と走らせます。DD51形ディーゼル機関車が牽引する旧型客車を日本海沿いの国道で見つけると、グングン追い上げます。
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やがて追い付くと、奈美は扉が開いたデッキで立ってアイスを食べている様です。五所川はクラクションを連打して呼びかけますが、なかなか奈美は気付いてくれません。
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タオルを振りながら必死で呼びかける五所川に奈美が漸く気付きますが、奈美の「危ないから」の声も「次で降りるから」の声も騒音でなかなか通じません。
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そして列車と並走できる区間が終わる頃 漸く意図が通じた様ですが、今度は五所川の様子がオカシクなり 奈美は気が気ではありません。
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奈美がハラハラする内、列車は次の柿崎駅に滑り込みました。奈美は急いで改札を抜け 駅前に停車しているトラックに駆け寄りますが、五所川の意識は無い様です。
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奈美を追い掛け 並走しながら呼びかける 切迫感あるこのシーンは、信越本線 米山~柿崎の日本海沿いの国道8号線と並走する区間で撮影されました。
この映画のロケが行われた頃 普通旅客列車は新潟運転所から分離独立した東新潟機関区のDD51ディーゼル機関車牽引とDC列車 貨物はD51形蒸機中心でした。

ロケ当時撮影可能な旧型客車列車は朝方5本・日中1本夕方2本ありました。柿崎駅到着時 ホームの電柱の陰が短いことから、11:57柏崎発 12:37柿崎到着の長岡始発 334ㇾ高崎行と思われます。
五所川の一途な思いとそれを受け止める奈美の心 その舞台に旧型客車はハマりますね。その後 1969年10月には信越本線最後のこの区間(宮内~直江津)も、電化・近代化され旧型客車も徐々に少なくなってゆきました。

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