日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 21、 疾風小僧

 1960年8月 日活 製作 公開  カラー作品    監督 西河克己

 和田浩治の小僧シリーズ第2弾 北海道 旭川を舞台のアクション映画です。

 疾風小僧のサブ(和田浩治)は青函連絡船の中で知り合った流れ者 ヒゲの六条(大坂志郎)に旭川を案内してもらっている内トラブルに巻き込まれる。
 鉄道シーンは短いが、夜 旭川電気軌道 旭川追分駅構内 牛が積まれた二軸有蓋貨車 ワ104 の中にサブと六条が隠れています。
疾風小僧1


 翌早朝 電車に牽かれた ワ104 は扉を開けたままで走行。それも両側共全開で! 夏のことゆえ涼しそうです。そして終点 東川駅に到着。
 乗客は何故か木製の簡易昇降台を使って降りていきます。疾風小僧2
その間にサブ達も裏側にそっと降ります。
 コンクリート製のホームもあるのですが、改札口と離れている為乗客の利便性を考え昇降台を使っているのでしょう。

 この鮮やかな緑色の電車は 1955年 日本車両東京支店製モハ1001 両運転台を持つ半鋼製18m級電車で新車で購入した旭川電気軌道のエース車両です。サイドビュウだけで正面が映っていないのは少々残念です。
 映画撮影の要請を受け念入りに磨き込まれた様子で、ワンカットながらカラー作品に映えています。
 掃き溜めに鶴とは言い過ぎですが、流麗な車体でカラー映画に映っているシーンは貴重なカットでしょう。

続いて映画のセットの様な東川駅舎から出てきたサブ達は湧駒別行のバスに乗り込みます。このバスも近代的な箱型バスで、この時代の路線バスにしては洗練されています。
 未来を予見している様で、その後 自社バスやマイカーに押され 1972年12月末をもって全線廃止となりました。

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 20、 花の慕情

 1958年 8月 東宝 製作 公開  カラー作品    監督 鈴木英夫

 華道 師範 堂本梢(司葉子)と津田慎一(宝田明)の波乱万丈の恋愛映画

 堂本梢は自流派のスポンサー矢波福造(千秋実)からの求婚に気が進まないところで、津田慎一と出会い引かれるが周囲の反対にあい諦める。
 傷心の津田が静岡へ行ったのを聞いた梢は駆けつけます。この静岡駅を最後尾の一等展望車まで鮮やかな青大将色の特別急行 つばめ号が通過して行くと、反対から急行列車らしきが到着します。

 当時のダイヤでは上り つばめ号 の静岡通過が 14:00 頃。 一方下り西鹿児島行 急行高千穂号の静岡到着が 14:01 でピッタリです。
 しかし EF58 機関車の次が三等車で 高千穂 の編成と合いません。二両目以後がハッキリ映っていないので不確実ですが、ひょっとすると下り列車は遅れていてこの列車は 13:42 到着予定の米原行き普通329列車ではないかなとも思います。

 次に津田と梢が東海道本線の上を跨ぐ橋を歩いているとき下を走り抜けて行く列車は編成からして 下り大阪行 急行 なにわ号でしょう。 二人が帰京する場面では 80系 準急東海が登場します。

 お互い未練を残しながらも別れた二人。梢が横須賀線北鎌倉駅で 70系電車から降りると、反対の上りホームに津田と妹の藍子(三井美奈)がいるのを見て電柱の陰に隠れます。
 やがて上り列車が到着し、走り去る二人を悲しく見送る梢。この場面 コロムビア ローズが歌う主題歌(花の慕情)がバックでずっと流れ、”いかにもメロドラマ”を盛り上げています。

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 19. 大脱獄

 1975年4月  東映 製作 公開  カラー作品    監督 石井輝男   

 仲間に裏切られ死刑囚となった梢一郎(高倉健)が脱獄し、復讐を図るアクション映画です。

 鉄道シーンとしては、網走刑務所を脱獄した梢が仲間の国岩邦造(菅原文太)と組み北海炭鉱へ届けられる二億円を列車内から奪おうとする剛田(田中邦衞)一味を襲い、復讐を図る計画をたてます。
 夕張線(現:石勝線夕張支線)清水沢駅の木造跨線橋で梢が待っているところへキハ22DCが到着し、国岩が降り立ちます。
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のりかえ 南大夕張方面と書かれた案内板もあります。
 続々と跨線橋を渡り大夕張鉄道に乗り換える人々の中に現金運搬人や剛田ら一味もいます。客車の屋根にはダルマストーブの煙突が有ります。
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 剛田一味は銃器で列車ジャックし、機関士 機関助手を縛り上げ石打峠の手前で客車と機関車を切り離し、バックで停止した所へ迎えが来る計画です。
 梢は列車ジャックした一味の内二人が機関車へ向かった隙に国岩と共に反撃し、剛田らへの復讐を遂げます。一方 機関士らが縛り上げられ下り坂を暴走する機関車は脱線転覆してしまいます。

 清水沢駅での乗り換えシーンは大夕張鉄道で行われ、ストーブ付客車やホームで荷物の運搬にソリを使うなど厳寒期の映画らしい演出もあります。
 でも機関車の走行シーンは清水沢駅から2駅隣の沼ノ沢駅から接続していた北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道の機関車で行われたそうで、元夕張鉄道の9600形 22か24だろうと思います。19-4.jpg


 何故そうなったかというと、13. 新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬 で紹介したSLが1973年12月末 全面DL化されていたので、旅客列車は無くとも近い真谷地炭鉱専用鉄道のSLで撮影したのでしょう。
 大夕張鉄道ではDL化後も廃止まで一貫して機関車牽引の旅客列車で運転していたので、清水沢駅での乗り換えシーンが撮影されました。
 なお暴走した機関車の脱線転覆シーンは1960年公開の東映映画( 大いなる旅路)で 18633 機関車が脱線転覆したシーンの使い回しですね。それ故このシーンは白黒です。19-3.jpg


 大夕張鉄道は 13. で前出の様に 1987年7月廃止ですが、真谷地炭鉱専用鉄道も 1966年9月 旅客列車廃止の後 1987年10月 閉山に伴い専用鉄道廃止となっています。
 この地区の大御所 夕張鉄道が 1975年3月 一足早く廃止となった後も共に営業を続け、仲よく1987年 僅かな違いでの廃止でした。
 

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 18. ぶらりぶらぶら物語

 1962年11月 東京映画制作 東宝配給  カラー作品    監督 松山善三

 全国を放浪する猪戸純平(小林桂樹)が九州で桑田駒子(高峰秀子)と知り合い騙され、更にとある女から二人の子供を押し付けられ東京を目指すコメディ映画です。

 冒頭C11蒸機が牽引する列車が映ります。18-1.jpg
下関駅で二人の子供を押し付けられた純平はホームで女を捜します。見晴らしが良く関門海峡が見える中、東京行のC62牽引列車が入線して来ます。ホームから関門海峡の海が見えます。18-2.jpg
汽笛一声 ゆっくり加速する列車のデッキからこちらを見る女。
 それを見つけた純平は追いかけますが、間に合わず汽車は行ってしまいます。

 大阪を目指して最低区間の切符で岡山から山陽本線の急行電車に乗ると、早速検札が来て見付かります。映像では 153系 準急 鷲羽です。
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 この頃この区間に急行電車は無く客車急行ばかりです。優等電車は特急電車が 富士 と うずしお であり準急電車が鷲羽と びんご でした。

 和歌山から東京を目指し、貨物列車に乗り込んだ場面では東海道本線という設定だが、D52蒸気機関車が牽引して無蓋車トム50000に乗っています。
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 架線柱が既に見えますが、この当時電化工事が未完成だった山陽本線の広島~小郡(現 新山口)の内 岩国~徳山の辺りで撮影されたのではないかと思われます。無蓋車の上で風に吹かれる三人は気持良さそうです。18-5.jpg

 なお 1964年7月の全線電化後もしばらくは電気機関車不足もあって、本編の様にD52 SL は架線の下で活躍していたそうです。
 東京に着いた猪戸が都電に乗る場面では、対向する都電6000形とすれ違うシーンもあります。18-6.jpg

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