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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 11、 路傍の石

  1960年5月 東宝配給 東京映画制作    監督 久松清児

 山本有三 原作 本作で三度目の映画化です。 愛川吾一(太田博之)の少年期を描くが、苦難連続の人生物語です。    明治末期の話なので1896年米ボールドウィン社製 1、2号蒸気機関車が現役であった栃木県の東野鉄道で撮影されたシーンがあります。

 鉄道シーンは主な部分でも3か所有り、かなり長いです。 先ず友人へのつまらない自慢話から吾一は汽車の通る鉄橋にぶら下ることになり、直前で機関士らに助けられます。1号機関車が貨車1両と古典オープンデッキ客車3両を引いています。
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 次に慕っていた恩師 次野先生(三橋達也)上京見送りのシーンでは黒羽駅を栃木駅に見立て、
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発車後切通しの上り急カーブを走り去る列車を吾一は見送っている。
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 ラストシーンでは奉公先を飛び出し上京する吾一が乗車する場面があります。このシーンでは2号機関車が引き、古典客車の内部も細かく撮影されています。
 当時旅客列車は DC化され貨物列車を1,2号機関車が引いていました。 撮影用に混合列車を組んだ訳だが良く古典客車が残っていたものだと思います。
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 映画公開翌年の1961年津軽鉄道からDC202ディーゼル機関車を購入したので、2号機関車は廃車。DLの予備機になった1号機も3年後には廃車と絶妙なタイミングで撮影されたのです。
 しかしこのローカル私鉄も年々乗客減が続き、1968年12月 廃止となってしまいました。

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