日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

165. 本日休診

1952年2月 松竹 製作 公開   監督 渋谷実

戦争の傷跡が残る東京 蒲田を舞台に、人情味溢れるベテラン医師 三雲八春(柳永二郎)の日常を描く喜劇映画です。

冒頭 蒲田の町を走り抜ける横須賀線 70系電車の姿を、遠景で映っています。
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そして車内から蒲田へ向かう車窓を写し、蒲田駅 東側で再開一周年を迎えた三雲病院の紹介へと続きます。
一周年記念に休診とした病院ですが大阪から来た女性 津和野愁子(角梨枝子)が前夜襲われ、松木巡査(十朱久雄)に連れられ三雲病院へ来たので三雲は優しく診てあげます。

前夜の顚末を再現した場面では擬似夜景の中、京浜線 73系桜木町行が登場します。そして診察後 病院を出た松木達の前に線路が有り、6760形 6843蒸機(横浜区)がバックでやって来ました。
この線がかの有名な?進駐軍羽田空港専用線(蒲田~羽田)だそうです。近付いた蒸機の直前を湯川春三(佐田啓二)がふざけて横切って、皆をハラハラさせます。
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終戦直後 進駐軍が羽田空港の拡張を図って資材運搬用に強権を振るって建設した線ですが、この映画公開の直前に役目を終えて廃線となっているので幻の映像と言われているそうです。

愁子を襲った犯人を松木巡査が捕まえ その説明場面では、追跡中に東海道本線を行くD51形蒸機牽引の貨物列車が登場しています。電機が不足しているのか、山手貨物線からの直通かと思われます。
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中盤 夜遅く 電車住宅で御産だと湯川が迎えに来て、リヤカーに乗せられ蒲田電車庫へと到着します。
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そして裏口から車庫の中を抜けた先に、廃車となった電車体を利用した住居が有り往診します。

翌朝 再度往診すべく蒲田電車庫裏へ、三雲は歩いて行きます。
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前日は夜中で電車の動きが有りませんでしたが、今度は線路一本渡る度に右から左からと移動して来る 73系が有りヒヤヒヤします。
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それでもなんとか通り抜け、車庫の端の非電化線路横の電車住宅へ辿り着きました。現在の感覚では考えられない脚本ですが、喜劇タッチの映画であり 63年前の時代ではアリなのでしょう。
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この非電化線路は、鉄道院時代の 1914年に開業した矢口発電所への専用線だそうです。しかし都合で鉄道省時代の 1926年には休止線となったので、ロケ当時でも長らく使っていない模様です。

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