日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

141. みれん

1963年10月 東京映画製作 東宝 配給 公開   監督 千葉泰樹

着物の図案作家 相沢知子(池内淳子)と売れない小説家 小杉慎吾(仲谷昇)の、8年に及ぶ愛人関係の果てに訪れた別れまでのドラマを描く映画です。

知子と小杉は8年前、心中を考えながら宮城県 秋保温泉へと向かった。不鮮明ですが、C61形蒸機らしきが 7両程の客車を牽いて橋梁を渡って行く映像が先ず映ります。
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車内では窓側に知子が座り、通路側に小杉が座って本を開いています。8年前ですから 1955年なので、長町駅から秋保電鉄(1961年廃止)を使って秋保温泉へ向かう計画と思われます。
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この映画公開8年前の時刻表で見ると、上野 9:00発 101ㇾ急行 青葉で出発して 14:58白石で降り 15:10発 125ㇾ各停に乗り換え 16:15に東北本線 長町駅に着きます。
ここから 16:50発の秋保電鉄 秋保温泉行に乗り換えて、路面電車規格のポール電車で 16km.の道程をゆっくり進み 17:43に到着します。

8年もの愛人生活の後 小杉の妻 ゆき(岸田今日子)から小杉宛の手紙を読んでしまった知子は、今後の行く末を考え思い切って藤沢の小杉家を訪ねます。
先ず 鎌倉高校前付近でしょうか、海沿いの車窓が広がる江ノ電に乗っている知子の様子が映ります。鎌倉駅から藤沢行に乗ったのでしょう。
車窓に江ノ島が映り込んでいますので「次は湘南海岸公園」とアナウンスをしていますが、アフレコで本当は腰越ですね。

続いては 300形の2両編成のポール集電 江ノ電車両が、 351を後部に湘南海岸公園駅へと入って行きます。301と連接車を組んで、1992年迄走っていた車両です。
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江ノ電ではこの映画が公開された年の秋 ポールからZパンタへと一斉に交換 近代化されているので、ロケが行われたのは正にポール最末期だったのです。

江ノ電のポール集電といえば同じ年の3月 同じ東宝から公開された( 天国と地獄 )の中で犯人からの電話の背後からポール集電特有の音が聞こえ、隠れ家が江ノ電沿線と推測され江ノ電も登場しています。
そして現在とは別世界のバラックの様な湘南海岸公園駅から知子が和服姿で降りてきました。
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その後 かつて駆け落ちした仲の木下涼太(仲代達也)とも別れ、一人旅に出ます。草原を6両編成の東武鉄道 1720系特急電車が走り抜けて行きます。
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次にこの 1720系独特の設備であるサロンルームで寛ぐ知子がいます。知子の背後には、日本の鉄道では唯一の存在であるジュークボックスが鎮座して異彩を放っています。
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