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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 25、 續 警察日記

  1955年11月  日活 製作 配給   監督:久松靜児

 同年2月公開された警察日記の続編で、田舎警察の日常ドラマをコメディタッチで描くが前作とは話に繋がりはありません。

 冒頭 日本硫黄沼尻鉄道のC122蒸機牽引列車が砂利道併用軌道を走って来て、25-1.jpg
牛に進路を妨害され停止するシーンが出てきます。
 街中で普通鉄道が併用軌道というのも凄いことだが、ニブロク軽便の沼尻鉄道には似合っていると思われます。
 続いて列車が畑の中を行くと、
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前方に自殺志願の女 ヨネ(高田敏江)が線路を枕に寝ていて急停車。25-3.jpg
とここまでは至ってコメディタッチ。

 このC122蒸気機関車は1922年独コッペル製で1949年栃尾鉄道から譲受し、DL入線後の1958年廃車となりました。
 前出 「4.太陽が大好き」でも沼尻鉄道が登場しましたが、それよりも11年前の軽便蒸気機関車現役時代の姿を残す貴重なシーンと思います。
 沼尻鉄道はこの映画撮影の13年後 1968年10月全線運行休止となってしまい、正式には翌1969年3月全線廃止となりました。

 中盤 身売りした柴田キサ(新珠三千代)ら一団が沼尻鉄道川桁駅から国鉄川桁駅へ乗り換えようとするシーンがあります。
 沼尻鉄道川桁駅舎は木造ながら、軽便鉄道としては中々立派な始発駅舎です。25-4.jpg
ここと国鉄川桁駅との間は広場になっていて少々距離があります。

 ラスト 横領犯の男を警官が国鉄川桁駅から護送する場面がある。D50牽引の列車に大勢乗り込み発車。
 暫く進むと警官に無実なのに米泥棒だと疑われて自供を強要され自殺した柴田(鶴丸睦彦)の野辺送り行列が、娘キサを先頭として見えてきます。
キサと付き合っていた横領犯の男 坂本(杉 幸彦) 川桁駅で身売りされるところを助けて以来何かとキサの面倒を見てきた若山巡査(三島耕) の二人が汽車の窓から行列を静かに見送ります。
 D50 牽引 7両編成の列車は悲しげに聞こえる汽笛の音を響かせ、磐梯山山麓の上り勾配をゆっくりゆっくり登って行くのでありました。
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 4、太陽が大好き

 1966年5月 日活 製作 公開    監督 若杉光夫

  閉山となった鉱山町を舞台に、貧しいながらも明るい未来を夢見て生きる 竹山栄子(太田雅子⇒その後の梶芽衣子)を中心とした青春映画。

 鉄道シーンとしては随所にローカル軽便私鉄 沼尻鉄道の車両が出てくる。冒頭からDC121らしきDLが無蓋貨車セタを挟んでオープンデッキのボハ6+7らしきを引き、そのデッキには栄子が気持ちよさそうに乗っている。
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 谷本さち子(芦川いづみ)が車内で昔の男にからまれるシーンではロングシートの両側に客がいて、軽便鉄道特有の狭さがよく分かる。
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 その後さち子は会津樋ノ口らしき駅で、男を振り切る様に降りていく。その時の停車時間のなんと短いこと!
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 夜の川桁駅でのシーンでは、DLが客車1両を引いて出発して行き、その後ガソ101気動車がセタを引いて到着する。
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 実在の沼尻鉄道も硫黄鉱山の閉山と共に衰退し、この映画の二年後には休止 翌年廃止となってしまった。
 モノクロ映画ではあるが、晩年の沼尻鉄道をこれ程長く映した映画は他に無いと思われる。

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