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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

84. 海の情事に賭けろ

1960年9月 日活 製作 公開  カラー作品    監督 野口博志

赤木圭一郎が学生の栗谷剛一とヤクザ組織の幹部 加東勇二の一人二役で演じ、大活躍のサスペンス・アクション映画です。

栗谷は人違いから殺し屋の村川一(深江章喜)に襲われ負傷する。後日新聞に名前は加東勇二と違うが、殺人事件の被害者として自分の写真が載ったことから真相に迫ろうとして新宿の水野組へ近付きました。
加東に成りすまし潜入するも見付かるが、加東の情婦 河村百合子(南田洋子)に人違いだと助けられます。栗谷の下宿先へ百合子を呼びますが、加東から連絡が来ていた百合子は早朝 姿を消したのでした。

4時15分の時計が映った後、朝まだきの両国駅舎前に現れた百合子の姿があります。
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続いて房総西線(現 内房線)を走るキハ17形を先頭とした3連DC列車が現れます。
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車内では海側の席に百合子が座っています。前方の席には百合子が向かうであろう加東を付け狙う村川が座り、百合子が何処で降りるか様子を窺っています。何故か初秋の割に車両の窓は閉められています。

並走する道路には百合子に出し抜かれた栗谷がタクシーに乗る姿が・・・しかし百合子を追うのではなく、双子の片割れと思われる加東のことを実家の母親へ聞きに行くのでありました。
やがて那古船形駅の改札から百合子が出て来ました。嬉しいことに右側の売店らしきが無い以外現在とあまり変わりない木造駅舎です。バックでは乗って来たDC3連列車が発車して行きます。
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百合子はえらく早朝に両国駅へ来ましたが 当時のダイヤでは両国始発の房総西線直通列車があるのではなく、御茶の水始発の国電に4:42 両国から乗ったと思われ 千葉に 5:31 に着きます。
5:38 千葉発の 117ㇾDC列車に乗り継ぎ、7:53 那古船形に到着します。随分所要時間が掛る様ですが、現在のダイヤでも両国 4:58→5:44千葉5:46→7:58那古船形と電化されたのに殆ど同じなのには驚きです。

これは1954年に早くも1往復以外の全列車がDC化され長く{気動車王国の千葉}と言われロケ時もそれなりに速達化されてた点と、1971年7月の全線電化以後未だに君津以南が単線で昔と同じく待ち合わせが多いからなのです。
この朝の上り館山発 両国行と夕方の下り両国発館山行の名物蒸機牽引列車も、1969年7月の木更津~千倉の電化に合わせて廃止されました。そして1972年房総西線は現在の内房線に改称されました。

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