日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

257.東京の人

1956年4月 日活 製作 公開   監督 西河克己

お互い伴侶を失った島木俊三(滝沢修)と白井敬子(月岡夢路)が家族揃って同居するが、経済的には問題無いのに島木の失踪から崩壊へ向かう家庭ドラマです。

冒頭 東海道本線上り列車の 新橋~有楽町から東京までの先頭映像と共にタイトルクレジットが、東京駅の隣ホームで発車待ちのEF58形電機が先頭の列車が映るところまで入ります。
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そして8番ホームへ、EF56形電機に牽かれた列車が到着します。
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3号車デッキから降りた客から、赤帽が荷物を受け取っています。その後ろから降りた島木は、鞄一つの軽装です。
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島木が乗って来たのは スロ51形特別二等車で、開いた窓から白カバーの掛かったリクライニングシートが見えます。そこへ背後から「社長さ~ん」と声が掛かります。
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声の主は島木の出版社で働く小林みね子(新珠三千代)でした。
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島木は「この汽車だってよく分かったね」「はい 昨日の朝もお待ちしてました・・実は一昨日も・・・」「えっ・・」という関係です。

白井敬子の息子 清(青山恭二)が家を出てしまい、上野駅北方の両大師橋を島木の娘 弓子(芦川いづみ)と話しながら歩く場面があります。清が家を出たのは母親の生き方に、ついて行けないからなどと言います。
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下を走る列車は映りませんが、先に入線待ちらしき列車の後部が映ります。
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この橋は拙著【 241.どっこい生きてる】【 243.あの丘越えて】の他〔東宝1950年作 また逢う日まで〕等々数多くの映画でロケ地となっています。

島木は傾いた会社の金を持ち出し、失踪してしまいます。残った家族も敬子と弓子が同じ男を好きになったり、弓子も家を出たりと家庭は崩壊へ向かっている様です。
日暮里駅西口で、清と弓子が待ち合わせる場面があります。西口改札から弓子が現れたので、跨線橋上の清は声を掛けます。
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気付いた弓子は横の階段を急いで上がりながら、「遅くなってごめんなさい」と謝ります。
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「ママに内緒の話ってなあに?」と弓子が聞くと、「僕 パパに会ったんだよ」と清は意外な所で島木に会った事を話します。





PS.
   田町~田端での山手線と京浜線は分離運転前で、本作公開7か月後の完成へ向けての工事中の様子がタイトルクレジット部分に映っています。

   新橋・有楽町の駅などは戦前から先に分離運転に向けての工事が進んでいたので、完成までの間 東北・高崎・常磐(C62形蒸機牽引普通列車)各線の一部列車がラッシュ時に乗り入れていたそうです。

   島木は急行列車のスロ51形特ロ3号車に乗って来た様です。隣の2号車も二等車なので該当する編成の列車を探すと、32レ急行きりしま号が 3号車スロ51形で 2号車がマロネ39形で東京着 17:37です。

   また 22レ急行安芸が 1955年10月~1956年4月だけ 2・3号車号車が共にスロ51形を使っていて(前後時期 3号車は並ロ)東京着 9:08です。映像の雰囲気では、こちらの様です。
   
   

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256.ぶっつけ本番

1958年6月 東宝 配給 公開  東京映画 製作   監督 佐伯幸三

日映新社のカメラマン 松本久弥をモデルに、戦後 復員した松木徹夫(フランキー堺)が突貫取材でニュース映画を撮影する姿を実在のニュース映像も混じえてドキュメンタリータッチに描いた作品です。

1946年 流線形EF55形電機に牽かれた復員列車が品川駅へ到着し
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松木は出迎えた妻 久美子(淡路恵子)との再会に歓喜・感涙です。
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その時 撮影中の先輩カメラマン 小林(佐野周二)にも再会して、報道映画社カメラマンに復帰することができます。
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1952年 清水港で起こったタンカー火災現場へ向かう時 先ず EF58形電機牽引列車が映り
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手ブレーキ横で弁当を食べてる松木に車掌室から出て来た車掌が「次 清水ですよ」と声を掛けてくれます。
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車掌は報道カメラマン松木の為に居場所の便宜を図ってくれた様です。

1956年末らしき品川駅 引揚列車取材の為 連絡地下道から7番線ホームへカメラを持った松木が上って来ます。背後から構内入換作業中のデフ付C10形らしき蒸機が通過して行きます。
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妻からもらった手編みのの帽子を旧知の中央ニュース記者から派手だと冷やかされますが
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松木は意に介さず シベリアから帰ってくる父親を出迎える母子の取材を始めます。
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列車の到着が迫った頃 松木はホームから線路へ降ります。
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中央ニュース記者から「どこへ行くんだ」と聞かれると「ロングを一発ね」と返して、離れた位置から到着ホームを広角の映像を狙いたい様です。
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そして撮影ポイントを決めかねているのか 前後左右に位置取りを変えては ネジを巻いたアイモ撮影機を構えて
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漸く決まったのか腕時計を確認して列車の到着を待ちます。

この間 周囲で入換作業の蒸機が発する汽笛が、始終鳴り響いています。アイモのネジが回り始め、姿を見せた引揚列車の撮影が始まります。
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先頭の機関車は、青大将と呼ばれたEF58形電機の様です。
列車の到着まで撮ると 再び撮影場所を急いで移動し、ホームで待ちわびた家族との感動の再会シーンを狙います。しかし松木が座って撮影し始めたその場所は、京浜東北線のレールの上だったのです。

警笛に気付いて振り向く松木ですが、桜木町行 72系らしき電車は すぐそこまで来ていたのです・・・
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 線路端には虚しくネジが廻り続ける松木のアイモが転がったままなのでした。
ホームの上では涙の再会をした家族達を、事故を知らない各社のカメラマン達が撮影に追われています。
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PS.

ロケ当時の品川機関区では、入換用機関車として 8620形・C10形の他 古い 2120形(B6形)が最後の活躍をしていた時期の様です。本作公開の頃には新鋭の DD13形内燃機が集中的に配備され、一気に近代化されました。
2120形(B6形)は日露戦争時に製造された古典機で、品川機関区ではこの年 順次 休廃車となりました。英国製が大半である 2120形の中でも、数少ない鉄道作業局神戸工場製の 2121はクリスマスに廃車となったそうです。
3両いたC10形も、夏には転属して行きました。当ブログ( 113.善魔)の4枚目の画像でも、品川駅で入換蒸機が盛んに煙を上げている全盛期の様子が見られます。

品川駅 7番線にエキストラを動員してのロケは、国鉄協力の元 主に特急列車用の淡緑色のEF58形電機が引揚列車を牽いて到着します。(国鉄も張り切ってます)
松木が線路に降りて撮影場所を探し始めると、事故の遠因と示唆するかの様に蒸機の汽笛が頻繁に聞こえている様に思います。


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255.婦系図より 湯島に散る花

1959年10月 新東宝 製作 公開  カラー作品   監督 土居通芳

恩人 酒井俊蔵(佐々木孝丸)への義理と、お蔦(高倉みゆき)への愛情の間で苦悩する苦学士 早瀬主税(天地茂)の姿を描いた悲恋映画です。
1907年に発表された泉鏡花の長編小説 [婦系図] を原作として、1934年公開の松竹作品から各社で6本製作された映画の内の5本目です。

早瀬の陸軍士官学校講師就任祝いの宴席で酒井から芸者 蔦吉(お蔦)を紹介された早瀬は、その夜から恋仲となって芸者を引退した お蔦と秘かに同棲し始めます。
ところが酒井の娘 妙子(北沢典子)との婚姻を狙うライバル河野英吉(江見俊太郎)の仲介願いを断ったことから、河野の奸計によって お蔦と同棲している件を酒井に知られて 別れる羽目になります。

湯島でお蔦に別れを告げた失意の早瀬は、酒井が託した「世界史の翻訳編纂」を故郷で行うべく九州へ向かうことにします。
東京駅ホームの待合室が映り
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「8番線の列車は(午後)9時40分発 二・三等急行 下関行です」と構内放送が流れる中、三等車内には背広姿の早瀬が既に乗り込んでいます。

そこへ妙子が現れ「私 九州まで早瀬さんに付いて行きます お父様も御承知なの」と言うので、
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「僕はお嬢さんを好きでしたが、運命は僕とお蔦を結んでしまいました 別れたとはいえ今更どうにもなりません」と断り 帰宅する様 妙子を諭す早瀬です。
その時 お蔦が手土産を持ってホームへ現れ早瀬を探しますが、発見したのは急行列車内で話し込む早瀬と妙子の姿です。
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早瀬の説得を承知した妙子は、発車ベルが鳴り始めたのでホームへ降りて見送ります。
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ベルが鳴り終わると早瀬はホームの左右に目をやり、お蔦が来ていないか捜している様子です。汽笛が鳴り響き、機関車の動輪が動き出します。
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汽車の動きに合わせて歩きながら「さようなら お元気で」と伝える妙子ですが、その背後には必死にハンケチを振って存在を伝え様とする お蔦の姿がありました。
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その姿を見付けた早瀬は、「あっお蔦」と呟き 頷くのみです。
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そして悲し気なBGMと共に、汽車はゆっくりと お蔦の視界から遠ざかって行くのでした。
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一年程過ぎたある日 お蔦は「世界史の翻訳 全巻完成 !! 功労者早瀬文学士上京す 在野の名士集め祝賀会開催」と記載された新聞を読み、俄然 早瀬への思いが募り 一目会いたくなるのが人情・・・となります。
先ず「東京~東京~」とナレーションが流れる日中 C58形蒸機が登場します。
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そして下関からの急行列車の到着時刻に合わせたのか、暗くなってから東京駅のホームには早瀬を待つ お蔦の姿があります。しかし到着した列車の中を見ても、ホームを捜しても見当たりません。
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午後八時、九時、十時と過ぎてゆき ホームを行き交う人も次第に少なくなっていきます。列車が到着する度に、必死に早瀬を捜すお蔦ですが会うことが出来ません。
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時計の針が十一時を指す頃 何時しか雪が降りだし、停車している列車の屋根にも積り始めています。冷え切ったベンチに寂しく座る お蔦にも雪が降りかかっている様です。
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かくして悲しい結末へと転がって行くのでした。






PS.
   原作は明治末期の話ですが、本作の時代設定は登場人物の服装や街並みが10年以上先の様に思えます。(上野不忍池の畔で、ひと時の逢瀬を楽しんでいる場面は除く)

   そこで早瀬が乗った列車ですが 東京駅から出発しているので、明治期ではなく東京駅が開業した 1914年(大正3年)12月以後です。(東京駅は予算を掛けて作り込んだセットで、エキストラも多数動員しています)

   早瀬の記事が一面に載った東都大学新聞も日付は不鮮明で具体的な時期が分からないままでしてが、終盤 危篤のお蔦を見た酒井が早瀬に打った電報に(2.1.22)と日付があるので 昭和 2年(1927年)と思われます。
   そこから考えると早瀬が九州へ向かったのは、1925年末か翌年初め頃と推定します。そして電報の宛名の「タカナベ」から、早瀬の故郷は宮崎県高鍋と思われます。

   1926年発行の時間表(1925年10月改訂版)によると、早瀬が乗ったのは東京 20:10(当時は太字で 8:10)発 三等急行下関行5レと思われます(後続の急行下関行は一・二等専用) この列車は終着駅 下関に翌日の 21:38の到着です。(所要25時間28分)
   続いて 21:58発の関門連絡船に乗り換え、門司に 22:13に到着して宿に泊まります。翌朝 6:40 発 吉松行 241レに乗れば高鍋には 17:15頃の到着となり、大変な長旅です。


鉄道シーンは殆どセット撮影ですが、9枚目の画像は両国駅を去り行く蒸機牽引列車と思われます。カラー作品は当時 夜間撮影は苦手で、仕方なく夕方出発する列車のカットを入れたのでしょう。
   また10枚目の C58形蒸機の登場シーンは、同じく両国駅へC58牽引の列車が到着した時 先頭部分を映したものと思われます。

   

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253.ラッキーさん

1952年2月 東宝 製作 公開   監督 市川崑

南海鉱業で皆からラッキーさんと呼ばれる若原徳平(小林桂樹)が我儘な秋葉社長(河村惣吉)の秘書となり、恋より仕事第一で奮闘する姿をユーモラスに描いたコメディ映画です。

社長秘書の同僚 町田泰子(島崎雪子)親子と帰宅途上の山手線内で、若原が社長から「君もパーマネントかけたら」と言われたことを泰子から冷やかされます。
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渋谷で若原が降りるところでこの場面は終わりますが、
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車内の様子からセット撮影の様です。でも冬季の設定なのですから、外が明るい内に帰宅途上とは・・・

社長秘書として数々の難題をこなしていく若原の通勤風景を映した場面で、東京駅丸の内南口前を横切る都電31系統(三ノ輪橋~都庁前)らしき電車が映ります
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当時この付近の停留所名は(東京駅)乗車口で、昭和40年代に丸の内南口に変更された様です。形式は6000形か3000形か不鮮明ですが、中央郵便局方向から映しています。

終盤 株主総会が開かれ 会社首脳の人事に皆の関心が集まっているところへ、給仕の井上大助(井上大助)が情報をもたらします。
会社首脳に変動はありませんでしたが、若原は四国第三鉱業所へ所長として転勤することが発表されます。

いよいよ若原が四国へ旅立つ日 東京駅のホームには会社の同僚が大勢見送りに駆けつけてくれて、別れの挨拶をしています。253-5.jpg
ところが見送りに行くと言っていた、社長が未だ来ていません。
そこへ階段から正装の男が現れたので、
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井上が思わず「あっ!」と叫びます。
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ところが駆けつけたのは、日頃 社長の代理として冠婚葬祭に出席している泰子の父 町田です。

そして「社長が参る予定でしたが、所要で不肖私が代理でお見送り致します」などと言うので、
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若原は溜息を吐き「ご丁寧にありがとうございます」
でも井上が「これ つまらないものですけど」と 記念品を差し出したので、元気を取り戻した様子です。
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駅員が客扱終了合図のカンテラを振り、
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汽笛が鳴って広島行の急行列車は発車して行きます。
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並ロ二等車に乗った若原は、おもむろに受け取った記念品の包みを開けます。すると出てきたのは、シガレットケースでした。
そこで向かい席に目をやると、老紳士がパイプをくゆらせながら洋雑誌(LIFE)を読んでいます。
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そこで若原は煙草をケースに入れようとしたのを止め、火を点けて 向かい席の男より更にふんぞり返って吸い始めました。
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PS.
  若原が乗った広島行急行列車は、21:30 発の 39レ急行安芸号の3号車オロ40と思われます。本作公開の前年9月までは宇野行のせと号を併結していたので納得ですが、ロケ時は 3039レ急行せと号は22:00発で、大社行いづも号との併結編成でした。

  四国へ向かうのに何故 広島行に乗ったのかを推理すると、目的地が愛媛県の今治周辺と仮定(妄想)してみます。急行安芸号は翌日 尾道に 13:33頃到着します。尾道港を 14:00に出港する瀬戸内海汽船に乗ると、今治港へ 16:50に到着します。

  一方 急行せと号に乗ると終点 宇野に翌日 13:45到着し、13:58発の宇高連絡船に乗り換え 15:08に高松へ到着です。更に高松 15:21発の5レ準急せと号 宇和島行に乗り継ぎ、今治へは 18:18の到着です。それで急行安芸号に乗ったのかもしれません。

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252.女が階段を上がる時

1960年1月 東宝製作公開   監督 成瀬己喜男

銀座で雇われマダムをしている矢代圭子(高峰秀子)を中心に、水商売の世界で生きる女性の悲哀を描いた映画です。

圭子の店で働く みゆき(横山道代)が馴染み客の松井(藤木悠)と結婚することになり、松井の実家が在る 静岡へ行く二人を圭子が見送るべく東京駅へ来ました。
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松井が売店へ向かうと みゆきが、「こんな時くらい二等に乗ればいいのに」と愚痴ります。圭子は「そこが彼のいいところよ 結婚したら辛抱しなくちゃ」と返します。
すかさず みゆきは「田舎の義父なんか上手く丸め込んじゃうわ、酔っ払いより簡単だから」と笑って話します。
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松井は雑誌を買って戻ると、「静岡から近いですから寄って下さい」と挨拶します。背後に見える丸の内駅舎の台形ドームが、今となっては懐かしいですね。
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銀行支店長の藤崎信彦(森雅之)は妻子ある身なれど圭子の店に通い、いつしか相思相愛らしき関係となります。
しかし圭子の家で一夜を過ごすと「大阪へ転勤することになった」と告げ、まるで手切れ金代わりの様に「売れば十万円位になる」と株券を渡すのでした。

そして転勤の日 東京駅 14番線の大阪行急行列車に乗って知り合いから見送りを受けている藤崎の元へ、圭子は株券と手土産を持って現れます。
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離れて圭子が会釈すると、藤崎は狼狽した様子です。
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窓際に進むと、「奥様ですか この度はご栄転おめでとうございます」と藤崎の妻 志津子(東郷晴子)に挨拶します。

圭子は「これ支店長さんからお借りしたものなので、お返しします」と 株券の入った封筒を志津子に渡します。 
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志津子は「いいんですか あなた」と藤崎に言うと、苦し気に「う・うぅん」と曖昧に返事します。
更に「これ お子さんに」と手土産を志津子に渡します。
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志津子は藤崎に「あなた!」と たたみかけたので、「いや どうも・・」と簡単に謝意を表すのがやっとです。

EF58形電機らしきのホイッスルが響き列車が動き出すと、圭子は満足気な顔で見送るのでした。
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走り出してからのセット撮影らしき車内シーンでは、うつむく藤崎に志津子の尋問が続きます。
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「綺麗な人ね」「う・うぅん」・・・「きちんとして、バーの人じゃないみたい」「う・うぅん」・・・と、藤崎は冷や汗をかいて曖昧な返事をするのがやっとの様子です。
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PS.
   東京駅 15番線で、圭子は松井とみゆきを見送ります。乗る列車はまだ来ない様ですが、16:35発 309レ準急東海3号が推定されます。これに乗ると静岡には 19:33の到着で、三等の切符に 120円の準急券を足すだけです。
この後 15番線からは 17:00発339レ浜松行がありますが、静岡到着が 21:21となってしまいます。

藤崎が転勤する際東京駅 14番線から乗った大阪行の急行列車を推理してみます。暗くなってからの大阪行は夜行列車であり、二等車を連結していているのは 20:15発の 13レ急行明星と 21:45発の 17レ急行月光です。
発進場面で車体中央にスロ5までぼんやりと見えるので、スロ54を連結していた急行月光と思われます。


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247. 御身

1962年10月 大映 製作 公開   監督 島耕二

商事会社に勤める矢沢章子(叶順子)は弟が掏られた50万円を工面する為 3か月契約で長谷川電機社長に身を売りますが、予想外な展開の連続に戸惑い 変わってゆく心理を描いた 恋愛映画です。

冒頭 章子の弟 矢沢利夫(六本木真)が渋谷付近の交番に被害を届ける場面で、背後を都電 6000形らしきが通過して行きます。247-20.jpg
青山通りを走る9系統(渋谷~浜町中ノ橋)らしき雰囲気です。
章子は知り合いのバーマダム 浅野公子(丹阿弥谷津子)の店を訪ねて相談し、丁度来店した長谷川虎男(宇津井健)に公子が出資を持ち掛けます。
長谷川は 3か月契約で 50万円を了承し、章子は 50万円の小切手を受け取ることが出来ました。すると長谷川は早速 章子を店から連れ出し、タクシーに乗って東京駅へ向かうので緊張する章子です。

しかし見送りだけを依頼されたのでホッとすると、その顔を長谷川に指摘されてしまいます。二人は東京駅のホームへ上がると、
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「14番線は22時発急行月光号大阪行です」と構内放送が流れる中 3号車端デッキから乗車します。
そして4号車へ入ると、開放二段式一等寝台車の様です。白い上着の乗客掛の横を通って長谷川が奥へ進むと、
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下段席から「遅いわね」と声が掛かります。長谷川は向いの席に座って、章子から鞄を受け取りました。
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瞬間に女は振り返って章子を見ると、「どなた!」と一言。章子は「失礼します」と言って逃げる様に去り、長谷川は追いかけます。247-4.jpg
売店の前を越して反対側ホームに停車する列車のデッキ前で、「あの女は 2号で、他にもう一人女がいる」と告げられます。
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そして無理やりタクシー代を渡され、列車に戻る長谷川を見送るのでした。章子が階段方向へ進むと、車内の女はカーテンを開けて章子の様子を見ています。関西へ同行する長谷川の 2号、バー「芝」のママ 香山波江(仁木多鶴子)です。
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その後 章子は恋人 和気年久(三田村元)と別れようとしますが、相手は納得しません。 一方 長谷川は男女の契約をしたのに、てんで相手にしません。そんな折 弟の利夫が上司に罵られたことから、会社を辞めてしまいます。
そこで章子は長谷川行きつけのバーで、弟の再就職を頼もうと出かけます。長谷川は現れますが この後人に会ってから 22:00の月光で関西へ出張に行くと言って直ぐ席を立つので、弟の件を話すことが出来ません。
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22:00 急行 月光の案内板が映り、章子が一等寝台 3号車内へ入って来ました。
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長谷川を探し出すと、驚く長谷川をよそに向かいの席に座ります。連れがいないことを確認すると、
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「私も大阪へ同行させてほしい」と言うので、更に驚く長谷川です。
やがて発車すると次のカットでは何故か 151系特急車両の走行シーンがあり、停車している 20系列車の横を通過して行きます。
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時間帯から 18:00発 2005M 特急おおとり 名古屋行と思われ、18:30発 3レ 特急あさかぜ号が同じ東京駅15番線への入線待ちでしょうか。

二人で和やかに話す内 EF58形電機に牽かれた列車は、横浜駅へ到着します。何故か(みずほ)らしきヘッドマーク付の列車です。247-14.jpg
ここで急に気が変わった章子は、弟のことを言い訳に降りてしまいます。
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ホームにいた乗客掛が乗り込み、折戸を閉めると同時に列車は動き出します。デッキに立つ長谷川を、名残惜しそうに見送る章子なのでした。
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 PS.

22時発の急行月光号は実在の列車ですが、作中では明らかに 20系ブルートレイン車両を模したセットの様です。ナロネ21を模して細部まで拘って作り込まれた、大映のセット製作技術の高さが現れた作品ですね。
しかも横浜駅での場面で最後は列車が動き出すのですから、何人掛かりで押したのでしょうか。惜しむらくは、東京駅のセットと階段の壁柄が同じです。でも当時は九州行特急専用の20系車両を、何故急行月光号として選んで作ったのでしょう?

22時発の列車ですから、当然最初から寝台はセットされています。ところが長谷川の寝台だけは、会話場面の都合なのか座席仕様のままです。更に長谷川一人で乗車していた場面でも同様なのは・・・
通路に足は出ますが 一等寝台ですから、寝台状態でも頭上高に余裕をもって座れます。喫煙室を使えば、更に実用的です。そもそも関西へ向かうのですから、ブルートレインでは最後の(はやぶさ)でも大阪着 午前 2:13と早過ぎて急行月光としたのか?
ならば一等座席車が無い月光ではなく 21:00発 25レ 急行瀬戸 宇野行を想定すれば スロ53 一等座席車が有り、大阪着も 7:26と実用的であり セットも作り慣れていたと思われるのですが・・・

それにしても東京駅ホーム場面のセットは、売店から反対側ホームの列車まで作り込まれていて凄いセットです。波板屋根を映さなければ、( 55.堂々たる人生 )での日活が作った東京駅ホームセットと双璧でしょう。




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225. 彼岸花  

1958年9月 松竹 製作 公開  カラー作品   監督 小津安二郎

商社重役の平山渉(佐分利信)は旧友の娘の行動には寛容なのに 自分の娘 節子(有馬稲子)には自説を押し付け孤立しますが、娘の幸せを優先する様に変わっていく姿を描くホームドラマです。

この作品の鉄道シーンは冒頭と最後に有ります。冒頭 今となっては懐かしい台形頭の東京駅丸の内駅舎が映り、横須賀線 70系電車らしきが停車しています。
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続いて湘南電車発着の 12番線で 15:21発 沼津・伊東行普通二三等列車 15両編成 833ㇾの案内板が映りますが、直ぐにパタパタが動いて白地になり 発車して行った様です。
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ホームには今出た電車で熱海方面へ向かった新婚の二人を見送った披露宴の列席者が残り、余韻に浸った様に話をしています。
そのホームのベンチには二人の清掃担当の職員が休憩なのか座り、新婚旅行に出掛ける花嫁さんの勝手な品定めをしています。
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一人が「風が強くなる様だな」と言って、柱に掲示された強風注意の鉄道気象告知板が映ります。
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平山が節子の見合い話を進めていたある日 勤務先へ谷口正彦(佐田啓二)が訪ねて来て、節子との結婚承認を願い出ます。妻の清子(田中絹代)も初耳で、平山は怒って節子に禁足令を出すしまつ。
谷口に会った清子や次女の久子(桑野みゆき)は賛成派で、平山は家族の中で孤立する一方です。更に京都の知り合いの娘 佐々木幸子(山本富士子)の策略で平山は追い詰められます。

更に先日 結婚式に出た親友の河合利彦(中村伸郎)から、奥さんから頼まれた節子たちの仲人を引き受けたことを聞かされます。
結婚式の前夜 平山が白手袋と靴下を買ってきたのを見た清子は、「明日の結婚式に出てくださるのね」と念を押し 二階にいる節子に報告するのでした。

平山は結婚式の後 暫くして愛知県の蒲郡で同窓会があり その帰りに京都の佐々木家に寄ると、幸子母娘から広島の新居に是非寄る様に説得されて 強引に承諾させられます。
翌朝 特別急行かもめ号の二等車席に
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平山が座っています。8:30 に始発の京都駅を出た直後の様で、車内はガラガラです。デッキから白い上着を着た列車給仕が現れたので、手を挙げて呼び寄せます。
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そして節子宅へ 14:18 広島に着く旨の電報を依頼します。列車給仕(須賀不二夫)が書きとめ
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「大阪でお打ちします」と言って前方へ行くと、「青葉茂れる・・・♪」と小声で歌いだす平山です。
当時の電報料金は市外だと 10字まで 60円で、5字増す毎にプラス 10円なので 80円 至急電報扱いは倍額なので 160円と思われます。列車給仕はこの様に電報代行サービスも行っていました。

続いて EF 58形電機を先頭に淀川らしき大河を渡る 特別急行かもめ号の全景が、鮮やかなテールマークが小さくなる迄映され エンドマークとなります。
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1953年3月より運行開始された山陽特急かもめ号は京都~博多を結び、この年 1958年4月の姫路電化より京都~姫路の牽引機が C59 形等の蒸機から EF58 形電機に変更されました。
   





PS .

 谷口の広島転勤引っ越しの手伝いに行って来た久子は、「明日 谷口さんが 18:30の あさかぜで広島へ行くので、私も見送りに行く」と告げます。
若い谷口が広島へ行くのに当時は敷居の高い特別急行列車を使う? 漠然と不思議に思います。でも会社で転勤の挨拶をしても 18:30発の あさかぜ なら間に合い、同僚の見送りも受けられそうです。

そして広島には翌朝 7時過ぎの到着なので、そのまま着任の挨拶にも出社できて合理的であり ナハ10形三等座席車も連結されている あさかぜ号を利用したと思われます。
この映画公開の翌月に あさかぜ号はオール冷暖房完備の 20系化されたので、暑い時期の転勤で苦労したであろう谷口は後日 悔しい思いをしたことでしょう。
一般的な直通急行列車を使うと あさかぜ号の前は、13:30発長崎行 39ㇾ雲仙号となり 広島到着も朝 5時頃で早過ぎます。更に後続の博多行 41ㇾ急行筑紫号だと、20:30の発車で到着は午後1時半なので納得ですね。

 特急かもめ号は需要見通しから昼行特急列車の象徴である一等展望車は連結されず、特ロ車両のスロ54形二等車を4両連結しました。しかし本編の様にガラガラの日もあり、一年も経たずに3両に減らされます。
1958年の利用調査でも二等車は6割程で、東海道本線の つばめ号の様に高くありません。本編では利用者が多く乗車する前の京都~大阪の車内なので、セット撮影としてもガラガラ状態としたのでしょう。

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223.警視庁物語 深夜便130列車

1960年1月 東映 製作 公開   監督 飯塚増一

東京の汐留貨物駅で差出・受取人不明の事故扱いのトランクから絞殺体が発見され、荷物の発送人を割り出す警察の捜査過程を丹念に描くシリーズ第12弾の刑事もの映画です。

トランクが大阪から発送された物なので、警視庁愛宕署の長田部長刑事(掘雄二)と林刑事(花沢徳衛)・金子刑事(山本麟一)の大阪出張が決まります。
東京駅のホームで長田は息子の正雄(住田知仁→風間杜夫)から荷物を受け取り
深夜便ー1
急行月光に乗る二人と合流します。そこへ山形刑事が駆け付け、被害者の検視結果を知らせて見送ります。
深夜便ー2
3人が乗った 17ㇾ急行 月光は 21:45東京を発ち、終着 大阪へは 8:24に着きます。14両編成中 6両の3等座席車が有り、3人は固い座席で10時間半余りを過ごしたのでした。

その後の捜査でトランクは東京の隅田川貨物駅へ軽三輪で持ち込まれた物で、大阪の梅田貨物駅で受け取られ更に天王寺駅から汐留へと送られたことが分かります。
軽三輪運送の運転手から発送人の家が判明し、駆け付けると既にアパート二階の部屋は引き払われていた。しかし一階のおかみ(菅井きん)から引き払った男は、吉村春夫(小嶋一郎)と分かります。
この聞き込みの時、背後の築堤上をC57形蒸機牽引の列車が通過します。常磐線を走る各停か、当時4本あった我孫子経由の成田行と思われます。
深夜便ー3
また友人関係の聞き込みでは国鉄田端機関区へ行き
深夜便ー4
9600形蒸機の 79659の前で話を聞く場面もあります。
深夜便ー5

被害者の眼から発見されたコンタクトレンズから身元が判明し、吉村が殺害後に貯金の大半を引き出して九州出身のダンサー花山あや子(小宮光江)と高飛びを図っていることを掴みます。
あや子の身柄を確保して所持品の切符から、東京 21:30発の博多行 41ㇾ急行筑紫に乗ろうとしていたことが分かります。
深夜便ー8
更にあや子は「吉村は熱海から乗車して合流する計画だった」と話します。

既に 41ㇾの熱海発車時刻 23:32を過ぎているので次の停車駅 沼津から公安官に乗ってもらい、あや子所持の切符の裏番号 1845の前後を所持している若い男を確保する様に依頼します。

浜松機関区所属の EF5842電機が急行筑紫を牽いて沼津駅に到着するシーンがあり
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3人の公安官が乗り込み車掌に切符の捜査依頼をします。
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ところが暫らくして後番号の 1846を所持している中年男しか見付からないとの連絡が入ります。あや子が乗っていないと分かった吉村が、沼津で途中下車して東京行に乗り換えたと想像します。

41ㇾの沼津到着は 23:53で上り東京行 130ㇾが 2:20に沼津を出ます。そこで大船駅へ車を飛ばし、4:01に発車の 130ㇾに乗り込んで吉村を捜すことにします。
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沼津から乗って終着の東京まで乗った男は二人で、その内の一人が到着と同時に走って逃げだしました。
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しかしホームには待ち構えていた刑事も居て、忽ち取り押さえられてしまいました。
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221. 足にさわった女

1952年11月 東宝 製作 公開   監督 市川崑

休暇で東京へ向かう大阪の刑事 北五平太(池部良)と女スリの塩沢さや(越路吹雪)が上り特急列車に乗り合わせ、小説家も絡んだ珍道中を描くラブ・コメディ映画です。
1926年 日活作のリメイク作品であり、1960年にも大映で再度リメイクされています。

序盤 EF57形電機が牽く列車が映り、(大阪発東京行 特急)とテロップが入ります。
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続いて 食堂車で小説家 坂々安古(山村聡)と出版社々員が、ビールとツマミを並べたテーブルを挟んで 古来 美人の泥棒は存在しない等と話をしています。
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その話を通路を挟んだ向かいのテーブルで聞いた北は、イスを持って移動してその論争に加わり「美人の泥棒は実在します」「この汽車に乗っているかもしれない」と話すのでした。
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特別二等車内では新聞を読む岡田六右衛門(見明凡太郎)の足に、向かいの席に座る女の組んだ足先が揺れる拍子に触って気になります。相手は若い美人なので、鼻の下も伸びています。
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回転式リクライニングシートなのに何故か向い合せにして お互い足を組んでいるのでトイレに立つにも不便なのですが、不自然でもこうしないと話が展開しないのです。
7号車が特ロの列車は 32ㇾ急行阿蘇が該当しますが、セットか特別二等車を使っての撮影と思われます。
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さやは弟分の野呂(伊藤雄之助)と示し合わせて車内灯を操作し、トンネルに入っても点灯せず真っ暗です。その間に岡田から財布をスリ取って、EF57電機牽引の列車が名古見(架空駅)到着と共に逃走します。
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他にも車内ではスリ被害の男がいたので、北は動き出した列車から飛び降りて急ぎ改札口へ向かいました。ホームにある便所横で野呂がさやの荷物を抱えています。どうやら中で着換えている様です。
野呂の背後には、電車らしきが停車しています。この名古見駅場面は 三島駅を使ってロケが行われたそうなので、駿豆鉄道本線(現 伊豆箱根鉄道駿豆線)の電車の様です。
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改札の外へ出た北ですが、さやの姿はありません。ホームを見ると、東京行普通列車に乗り込む女の後ろ姿が見えます。
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そこで強引に改札を突破して、連絡地下道を通らずに線路を斜めに走り抜ける北でした。
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後ろから改札の駅員が追い駆けて来ますが、素早くホームに上った北は東京行列車の最後部デッキに飛び乗ったのでした。
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前方の窓からは、野呂がこの様子を見ていて落胆しています。
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北は車内の便所で、農婦に変装した さやを見付けます。スリを否定する さやからは 故郷の下田へ行って、両親の法事を盛大に行って父親をスパイ容疑で追い詰めた親類の鼻を明かす計画を聞きます。
暫くすると車掌室の前で、スリ騒動が起きてます。北が車掌室に入ると、腹痛を起こして運ばれたという さやが椅子に寝ています。この女がスリだという説明を、富士川橋梁通過の騒音の中でします。
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さやは隙を見て男からスリ取った財布を窓から捨てますが、お札も風に飛ばしてしまいます。そしてスリの疑いを裸になって晴らすからと、車掌室で北に確認をさせるのでした。

列車が原駅(劇中の駅名は浜駅)に到着すると、
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大きな風呂敷包を持った老婆(三好栄子)が乗って来ます。さやは野呂が座っていた席を譲ったり、親切に接してあげます。
その時突然列車が急停車します。
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車掌が前方に走って行き「線路が故障したので隣の田子の浦駅まで歩いて下さい」と告げたので、
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皆唖然としながらも 暑い中 線路上を歩いて行きます。

途中からは老婆をさやが背負い、北が風呂敷包を持って歩きます。
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更に北とさやは交代して老婆を背負い、漸く東田子の浦駅へ皆が到着することができました。
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このロケは実際 東海道本線 鈴川(現 吉原)~東田子の浦の線路上で行われたそうで、国鉄職員が付き添って通過列車の間合いを見計らって撮影した様です。多人数なだけに、現在では不可能でしょう。

井戸水を飲んだりして待つと、電機に牽かれた列車が到着します。皆が急いで乗り込むと、さやが時計をデッキから落としてしまったと北に告げます。それを聞いた北は、デッキから身を乗り出して捜します。
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更に線路に降りて、レールの内側を覗いて遂には客車の下に潜り込んで時計を捜します。
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その時 電機の汽笛が鳴り、ゆっくりと列車が動き出しました。北は慌てずレールの間に身を伏せて、列車をやり過ごしました。
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この場面 最低地上高の高い旧形客車とはいえ 池部良 本人が挑んだスタントだそうで、三島駅構内に用意された3両の客車を使って色々な角度からスマートに撮影されています。
北の頭上を通過した列車は、加速しながら走り去って行きました。
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さやに騙され 東田子の浦駅に取り残された北は、思案に暮れますが財布が無いことに気付いて更に怒りが増します。
しかし北の財布を掏ったのは背負われた時の老婆であり、さやも法事の費用を全額を掏られたのでした。
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その後 熱海と下田で一騒動あり、さやは人生を清算するつもりで北の目の前で万引きをして捕まえてもらいます。そして大阪へ向かう列車の三等車には、北とさやが仲良く並んで座っています。
前の席の男が持つ新聞には(明日からの連載小説 女掏摸 坂々安古)と告示されているのを見た北は呆れた様子です。さやが足を組もうとして北の足に当ると、北はさやの足を引っ叩きました。
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それでさやは、足を縮めて大人しくする様です。さやが行く末を心配すると 北は「僕は未だ刑事を辞める決心がつかない」と言うので、二人の将来に希望は持てる様です。


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218.殺人容疑者

1952年8月 電通DFプロ 製作  新東宝 配給 公開

殺人事件の捜査過程を警察の協力の元 愛宕署を使うなどオールロケによって撮影され、ドキュメンタリータッチで描かれた緊迫感あふれる映画です。

冒頭 帝都高速度交通営団 銀座線 渋谷車両工場脇の道で殺人事件が起きて、警視庁による捜査が始まります。この場所は他社作品にも、この後度々登場する有名なロケ地です。
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遠く東横百貨店を臨み そこから延びる銀座線の留置線には、東京高速鉄道由来の 100形や東京地下鉄道由来の 1000形車両が休んでいます。
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中盤 事件の容疑者として 兼田(纓片達雄)が浮かび上がり、中沢刑事(石島房太郎)と豊田刑事(土屋嘉男)が有楽町駅付近で兼田を追い掛ける場面があります。
銀座七丁目の東海道本線と外堀に沿った道から疾走追跡が始まり、山手線か京浜線の 30系国電らしきが停車する有楽町駅を過ぎて迫力ある街頭追跡シーンが続きます。
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その後 木村(丹波正三郎)を長とする会社ぐるみで行われた犯行との容疑が固まり、逃亡を図る木村を沢刑事(沢彰謙)が追跡する場面でも鉄道シーンがあります。
東京駅へ向かった木村は、東海道本線の下り列車に乗ります。旧型のEF58形電機らしき走行シーンが先ず映り、
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白カバーの無い二等車内に座る木村を後方から沢が見張っています。
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刑事の尾行を察知した木村は、座席上に帽子と上着を掛けてトイレに行くフリをして移動します。
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トイレから隙を見てデッキへ移動し、列車が横浜駅へ到着しかかった所で飛び降り 逃走します。
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木村が飛び降りた列車は、二等車が3両連なっています。この当時 昼行で3連二等車の編成があるのは、33ㇾ急行きりしま号と 35ㇾ急行雲仙号で 時間帯から 35ㇾを使ってのロケと思われます。

指名手配された木村は都内に戻りますが、泊ったホテルで拳銃を見られて再び逃走します。山手線 72系電車らしきが映った後
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田町の札の辻陸橋付近に移動した所で見付かり、刑事を撃って更に逃走します。
横川橋梁の工場があった辺りから東海道本線下り線を越えて東京機関区内を抜けた様です。70系電車が停まる田町電車区内で見付かり、豊田刑事達に追われて線路内を走って逃げる木村です。
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更に通過電車の直前を横切って逃走し 排水溝に隠れますが、豊田刑事に見付かり 包囲されて札の辻橋の下で逮捕されます。通過列車の大変多い場所でのロケで、現在ではとても無理でしょう。




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