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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

389.にっぽんGメン特別武装班出動

1956年7月 東映製作公開   監督小石栄一

大井町の 伊勢万酒店で発見された 一枚の偽札を発端とした、偽札製造ギャング団と 警察の攻防を描いた アクション映画です。

 タイトルバックの最後で 警視庁捜査3課が舞台なのに合わせて、桜田門の 警視庁本部庁舎前を走る 都電9系統(渋谷駅前~浜町中ノ橋)の 6000形らしき電車が映っています。
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 偽千円札が発見された当日 千円札を使った8人の内 常連客7人についての 捜査過程で、笠野刑事(高木二郎)が 東武鉄道 牛田駅前の甘味屋で 一人の男についての 聞き込みをする 場面があります。
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その後 新米刑事の園川(高倉健)が 電話番号では?と 疑問に思った紙幣番号から 井原印刷工房で 映画の撮影用に頼まれて造った 一枚と判明しますが、腕を見込まれたギャング団に 主の井原忠孝(吉川英蘭)は 誘拐されてしまいます。

それから 井原の腕で製造された偽札が 出回り始めます。ある日パン屋で 女が支払った千円札が 偽札と見破った女将(不忍郷子)が 交番に通報すると、丁度立ち寄っていた 笠野が女を尾行します。

京成電鉄本線 博物館動物園~日暮里の 国鉄線をオーバークロスする 地点を走る 200形らしき電車が映り、
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車内で笠野刑事が サングラスを掛けた女を 新聞を広げながら監視しています。

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続いて 堀切駅と表示された 駅から女が降りてきて、
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その女を 笠野刑事は 距離を置いて 尾行します。背後の高架線を 京成電鉄 200形らしきが、発車して行きます。
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しかし笠野は 阿部(小沢栄)を首領とする 偽札製造ギャング団に捕まり、冷酷な依田(伊藤久哉)を初めとする一味に 無惨にも殺害されてしまいます。

それを聞いた 元刑事の 影岡信次(波島進)は ギャング団の取引先である 宮崎(斎藤紫香)の用心棒として 組織に潜入し、笠野が尾行していた 組織の女が 津村あけみ(浦里はるみ)と 判明に至る情報を捜査本部へ送ります。

また 目撃証言から笠野は 交番からあけみを尾行して、京成関屋で 東武に乗り換え 堀切で降りたことが分かりました。

早速刑事達は 堀切駅周辺で あけみの聞き込みを 開始しますが この場面で 再び堀切駅と標示された 駅が登場し、
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聞き込みに向かう刑事の 背後の高架線に 京成電鉄 100形らしきの姿があります。
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そして捜査の結果 あけみがこの街の バー バッカスの女給で、影岡は バッカスの地下室が 偽札製造工場であることを 突き止めます。

阿部達が 大量製造した偽札を 宮崎が麻薬取引に 使おうとしますが 影岡が阻止し、お台場での 武装警察隊と ギャング団の 最終決戦での 解決に持ち込むのでした。






PS. 
  3枚目からの画像は 山手線 鶯谷駅~日暮里駅にある 御隠殿坂跨線橋から 京成電鉄本線 博物館動物園~日暮里の 国鉄線を オーバークロスする地点を走る 200形らしき電車を 撮影したものと思われます。

  続く車内シーンでは 半室運転台故に、右側の最前席が 展望良席なのが 分かります。また座席の 袖仕切りが 木造等、車体更新前の 様子が映っています。

7・10枚目の画像で 映っている堀切駅は、東武鉄道伊勢崎線の 堀切駅とは 明らかに違います。
  8・9枚目の画像と合わせても 高架線区間の駅であり、京成関屋駅に 堀切駅として製作した 撮影用の看板を取り付け 撮影したと思われます。
    ( 架空駅名 ではなく、何故この様な 手の込んだ事を したのでしょうか? それとも 堀切菖蒲園駅? )


  

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236.朝を呼ぶ口笛

1959年3月 松竹 製作 公開   監督 生駒千里

高校進学資金の為 新聞配達のバイトをしている吉井稔(加藤弘)は母親の手術費用の為 進学を諦めようとするが、職場仲間の協力と励ましで 再び夢に向かって進み始める 青春映画です

中盤 吉井の職場仲間で大学の夜間部に通う 須藤隆司(田村高廣)は、交際している京成バス車掌の前川静子(瞳麗子)・その兄 前川一郎(山内明)と上野で待ち合わせます。
先に来ている前川兄妹が見ている先には、中央通りを上野公園電停から上野駅南口電停へ向かう1系統(品川~上野駅南口)24系統(須田町~福神橋)30系統(須田町~寺島町二丁目)何れかの6000形車両らしきが見えます。
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続いて 浅草方面をバックに3人が話す場面では、上野駅高架ホームに到着した列車の機回しでしょうかEF58形電機が浅草の仁丹広告塔と共に映っています。
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須藤は二人に就職試験を受けた本命会社から不採用の通知が来た事を告げ、「静子さんを幸せにする自信が無くなったので秋田の鉱山会社に一人で行く」と話すや注文品を待たずに食堂から飛び出して行くのでした。

次に踏切の警報器が映り 3両編成の京成電車がゆっくりと通過して行きますが、
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まだ踏切上に車体が有る内に 遮断棒は上がっていきます。
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そして元気のない須藤が渡って未舗装の道路を歩いて行きます。
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電車が進んだ右方向には小さな駅舎の京成押上線 荒川駅が隣接しています。この駅は高架化工事中の1994年に現在の八広駅へと改名されています。
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左方向には荒川を渡る低い橋梁があり、1991年にはタンカーが橋桁に衝突して運休となった事故がありました。翌年から橋の架け替え・高架化工事が始まり、1999年9月に現在地に移転しています。
荒川駅は 1963年4月に公開された「下町の太陽・監督 山田洋次」で登場して有名ですが、1978年12月 同じ松竹から公開された「俺は上野のプレスリー・監督 大嶺俊順」でも主役の友人の勤め先として登場しています。

その後 土手下にある新聞販売店に帰った須藤は、進学を諦め 就職の為 店を辞めようとしている吉井を見るや土手上に連れ出して 進学するように説得します。
二人の背後では 京成本線の3連電車が、京成綾瀬川橋梁を渡って京成関屋へと向かっています。
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続いて大きな荒川を渡る京成荒川橋梁は、1931年3月完成以来 86年間京成電車を支えています。
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周辺の土地は地盤沈下が激しく 堤防の嵩上げ工事をするも、両側の線路接点部分が水害の弱点となっています。そして橋の老朽化もあって、現在 架け替え工事が準備段階まで進んで進行中です。
吉井・須藤が働く新聞店は荒川駅近くにあるのですが 二人が座っているこの場所は、葛飾区小谷野町 現在の堀切4丁目1番地付近の荒川・綾瀬川間にある土手の上で 1.8㎞程離れています。しかし風景重視のロケ地故に、詮索は控えさせて頂きます。
この映画で 吉井のことを何かにつけて励まし・応援する女学生 刈谷美和子役を映画初出演の吉永小百合が演じています。日活映画専属契約で大活躍した彼女も、初出演は松竹映画なのでした。








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 40. 地底の歌

 1956年12月   日活 配給 公開     監督 野口博志

 伝統はあるが、今では傾いてしまった東京江東地区を縄張りとする伊豆一家を巡る任侠映画です。

 冒頭 京葉道路両国橋から千葉方面を俯瞰する映像に総武本線隅田川橋梁を渡る電車の姿が小さくあります。両国橋の上には都電がいます。系統番号は分らないので 12.25.29 番の何れかでしょう。
 続いて四ツ目通りを走るボンネット型バスの上を交差する総武本線 40系国電らしき中野方面行が、木造の錦糸町駅へ進入するカットがあります。
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 現在では四ツ目通りを跨いで亀戸側までホームがありますが、当時は両国側だけで納まっていたんですね。この地区一番の歓楽街である江東楽天地も道こそ広いが、砂利道だったとは・・・。

 組員の びっくり鉄(高品格)が 山田花子(香月美奈子)を成田へ連れて行くシーンでは、先ずクロスシートに二人で座っていることから 1500形車内での撮影と思われます。40-2.jpg

 続いての走行シーンは 700形3連でハッキリとは映っていないが、成田行の急行護摩号ではないかと思います。40-3.jpg
この頃特急開運号は専用の 1600形が走っていて、京成上野発 9:30 途中青砥のみ停車で 10:41 京成成田着でした。
 特急開運号は座席指定料金50円を徴収する、一日上下1本のみの有料特急でした。急行護摩は京成上野発 8:20~11:03 に8本設定され全て京成成田行で、帰りは 13:55~16:40 に同じく8本あり成田山新勝寺参拝の一般客輸送を担っていました。

 木造の京成成田駅改札前で、花子が獲物を待つシーンが続きます。ホームに200形らしき電車が到着し、木製ラッチを続々と客が通り駅前広場を成田山方面へ歩く姿があります。
 駅舎こそ新しくなりましたが、現在とあまり様子は変わっていません。広い駅前広場には数多くのタクシーやアメ車が停まり、お土産屋なども多く賑わっていて華やかさは今以上かもしれません。40-4.jpg


 

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