日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

178. 弾痕

1969年9月 東宝 製作 公開   カラー作品   監督 森谷司郎

アメリカ移民の息子で日米二重国籍でもあるアメリカ諜報機関工作員 滝村憲(加山雄三)の活躍を描く青春アクション映画で、加山雄三 スパイナー4部作の2作目です。

鉄道シーンがあるのは後半 滝村は 中共のスパイ 楊(岸田森)と武器商人 トニー・ローズ(アンディ・シームズ)の取引を阻止する指令を受け、愛車いすゞ117クーペを走らせます。
続いて日本海の海岸に沿って C57形蒸機牽引の客ㇾが走行する姿を、遠距離から望遠で追い駆けるシーンが長々とあります。走行音や汽笛はアフレコなので合ってはいません。
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次に直江津駅に8両程の客車を牽いて到着する D51 247の蒸機列車が映ります。
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ゆっくり入線して客が降り始めるまでに7回も「なおえつ ~ なおえつ ~」と連呼する構内放送も懐かしいですね。
さすがに編集段階で機関車の違いを指摘されたのか、D51 の顔は 0.3秒程しか映りません。「急行よねやま号田口行は橋を渡って4番線です」と放送しているので、直江津 12:19発 302D 急行よねやま1号でしょう。
するとローズらが乗ってきた列車は、北陸本線下り列車となります。しかし小生所有の時刻表 1969年5月号では、該当する接続列車がありません。北陸本線全線電化後なら 11:40着の 521ㇾ長岡行がありますが・・・

カムフラージュの釣竿らしきを担いだ滝村の仲間 野瀬(小沢忠臣→小沢象)が先に降りて来て、後部車両からトニー・ローズがカメラバックと三脚を担いで女連れで降りて来ました。
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二人は改札を抜け、3代目の山小屋風直江津駅旧駅舎から野瀬より先に出てきて駅前からタクシーに乗ります。二人を後ろから監視している野瀬は、駅前のいかや旅館を背に歩き出します。

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この旅館の建物は 1908年完成の名建築物であり、1987年ホテルセンチュリーイカヤと改名して建て替えするまで直江津の顔として存在していました。
なお同旅館は 1901年から 2008年まで長年直江津駅で駅弁販売しており、小生も{謙信公お立ち飯}を食べた記憶があります。


ロケ当時は直江津を中心に北陸本線の糸魚川~直江津 信越本線の直江津~長岡が 1969年10月 一気に電化・無煙化される直前でしたので、D51 牽引列車が入線の直江津駅構内は架線が張られています。
その前の海沿いをC57蒸機が走る場面は架線がありません。これは地すべり等の列車災害頻発地帯だったので、複線電化する際に内陸側に別線移転したので電化直前でも旧線はそのままだったのです。
とは言えこの当時直江津付近にC57形蒸機の配置は無く、旅客列車もD51形蒸機が牽いていました。映像は羽越本線の海沿いを走る新津区のC57蒸機の姿とも思えます。

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 64. 雑草のようないのち

 1960年1月 日活 製作公開      監督 滝沢英輔

 原作は、森山 啓(若いいのち)で発表即映画化となった浅丘ルリ子主演の純愛悲恋映画です。

 若村待子( 浅丘ルリ子 )と朝野純一( 川地民夫 )は共に金沢の高校に通う同級生です。学校の帰り道、汽車で帰る待子 自転車の朝野は友達連れで途中にある踏切にどちらが早く着くか競います。
 遠く汽笛が聞こえる中 警報機が鳴り始め、遮断ワイヤーが降り始めた踏切を朝野は突っ切ります。やや遅れて後ろに続いていた友達は、ワイヤーの踏切標板に遮られ渡れません。

 踏切の向こうへ渡った朝野の横をC57牽引の列車が通過して行きます。複線非電化の北陸本線ですが、どの辺りかは分りません。
 この時代 北陸本線では一部区間で複線化が始まった頃で、後述の待子の家付近では単線です。電化も先の話で、福井~金沢でも1963年4月なのです。

 車内では待子と友人の井田さと子( 中川姿子 )が並んで後方を見ています。さと子は左手に朝野がいないのを見て、「朝野君は向こうよ」と右手を指します。
 待子は曇る窓ガラスを拭きながら、朝野を見つけて手を振ります。 朝野も力一杯手を振り返します。さと子が「まるで今日限り別れる人みたい」などと冷やかしますが、待子は気にしない様子。

 その後 待子の家には不幸が続き、高校を辞め働くこととなるのです。朝野は東大に合格し、いよいよ二人は遠く離れ離れになることに。
 朝野が上京する列車が通る時刻 待子は家の近くの踏切に駆け付けます。遠く汽笛が響き、左手からカーブを曲がりC57を先頭に急行列車らしきが高速で通過して行きます。

 待子は列車の先頭から必死で朝野の顔を捜します。朝野も察知したのか寒いのに窓を大きく開け、帽子を取って大きく振り待子の方を見ます。
 それを見て待子は「純一さ~ん」と精一杯の声で叫ぶのでした。高速の列車はあっという間に白煙の彼方に消えて行きました。線路端には整然とハエタタキが並ぶ単線路です。
 春まだ浅い北陸の肌寒そうな鉛色の空が、二人の行く末を暗示している様です・・・
 
 

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 32.拳銃無頼帳 不敵に笑う男

 1960年8月 日活 配給 公開  カラー作品    監督 野口博志

 赤木圭一郎主演の拳銃無頼帳シリーズ第3弾で、今回は北陸の金沢を舞台に暴れました。

 冒頭 海岸沿いの景勝地を走る C11 牽引の列車が登場します。七尾線か能登線でしょうか。3年ぶりに出所した壇竜四郎(赤木圭一郎)は車中でコルトの謙と知り合い金沢へ向かいます。
 列車は C57 牽引に替り、金沢駅1番線に到着します。32-1.jpg
11:49 発大阪行と放送していますので前日 14:47 青森発の裏縦貫線完走 512 列車ですね。構内時計からして少々遅れての到着です。

 中盤 金沢駅で到着する DF50 牽引の列車に乗ろうとする壇に温泉帰りの組長が声を掛けます。32-2.jpg
始発以外で日中の客車優等列車は 13:20 発の急行立山 大阪行だけなので、たぶんこの列車でしょう。
 
 北陸鉄道金沢市内線1系統が映るシーンもあります。モハ2000形でしょうか、バックに丸越百貨店が映っているのでロケ地は武蔵が辻ですね。

 終盤 壇の妹 則子(吉永小百合)と三島五郎(青山恭二)を駆け落ちさせるべく金沢駅ホームまでガードした壇だったが、その場を離れると入線して来た C57 牽引の列車に二人は何者かによって突き落されてしまう。32-3.jpg

 この頃売出し中の若手女優だった吉永小百合にはキビシイ役どころだが、出演シーンの撮影が終わると直ぐ北海道に飛び 前出( 21.疾風小僧 )の撮影に合流しています。

 
 

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