日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

235.俺は銀座の騎兵隊

1960年6月 日活 製作 公開   監督 野口博志

銀座のチンピラグループが住むバス住宅が置いてある場所を船着き場として船上売春を目論む暴力団が、チンピラグループを追い出そうとするのを阻む千鳥三郎(和田浩治)の活躍を描く青春アクション映画です。

冒頭 都電の車内で主婦から財布を掏った川田良則(杉山俊夫)は刑事の倉田堂造(高原駿雄)に見つかり、都電12系統(新宿駅~両国駅)九段上電停で停車した折に仲間と逃走します。
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靖国通りで停車したのは都電 8000形の 8124 で、背後の壁は靖国神社です。1957年製造なので 当時はまだ新しい車両ですが、低コスト簡易製造車両なので不評だった様です。
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靖国神社境内へ逃げ込んだ川田とリチャード(神田瓢介)は倉田刑事が追って来たので、居合わせた千鳥に盗んだ財布を預けて 銀座のリピートというバーに持って来るよう頼みます。
銀座へ向かう場面で、銀座松坂屋の屋上から撮影したと思われる銀座四丁目交差点が映ります。次に晴海通り 銀座四丁目交差点から数寄屋橋方向を、新旧塗装の都電8・9・11系統の電車と共に映したカットがあります。
雪印の広告が乗る三愛・ナショナルのヒトデ型広告・不二越ビル屋上の地球儀形森永チョコレート広告等々、当時の東京の中心を象徴するビルとネオンサイン付きの巨大な広告塔が並んでいます。
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ところが店で会えなかったので、ボーイながらクラブ歌手を目指している様子の守山正一(守屋浩)に「デパートの屋上で待ってる」と伝言を依頼しました。
続いて銀座松坂屋前の中央通りを走る、都電40系統(銀座七丁目~神明町車庫)の 1100形らしき車両が映ります。
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銀座松坂屋は 1924年開業の老舗で、2013年6月末に閉店して建て替え 2017年4月 GINZA SIX として開店しています。

中盤 暴力団が香港マフィアから預かった麻薬取引の暗号が写ったフィルムを運ぶ水原ユミ子(清水まゆみ)が、地下鉄 丸ノ内線車内で川田に掏り取られる場面があります。
足を洗って靴磨きに専念していた川田が 酔った勢いでフィルムの入った封筒を掏り、倉田刑事に見つかり 逃げる途中で千鳥のポケットに差し込んで難を逃れ様としたのです。

発車寸前に掏られたことに気付いたユミ子は、千鳥のポケットに封筒が入っているのを見て 閉まったドアガラスを叩いて千鳥に知らせます。しかし封筒に気付いた千鳥も、去り行く電車内のユミ子と見つめ合うしかありません。
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当時 帝都高速度交通営団 丸ノ内線は前年の 1959年3月に全線開業(当時は池袋~新宿が丸ノ内線)したばかりで、映っているのは 300形か 400形車両と思われます。

その後 フィルムをネタに定住できる家と交換しようと目論む千鳥は、銀座で靴磨きをしながら暴力団で使い走りをするユミ子と接触しようとします。
この場面転換の時 銀座七丁目交差点らしきを渡って中央通りを新橋方面へ向かう、都電22系統(南千住~新橋)の 8000形 8101電車が映ります。
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事件が解決した後 死んだ父親が騎兵隊にいたことを誇りに思う千鳥に、倉田刑事はプレゼントとして一日馬を貸してくれました。その馬に仲良くなったユミ子を乗せて、警察公認だとばかりに仲間と晴海通りの真ん中を歩くのがラストシーンです。
都電9系統(渋谷駅前~浜町中ノ橋)数寄屋橋電停から始まり、
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警察官が交通整理をする数寄屋橋交差点を渡って
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不二家数寄屋橋店のあるビルを左手に服部時計台方面へと悠然と進んで行くのでした。
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234. 黒線地帯

1960年1月 新東宝 製作 公開   監督 石井輝男

週刊誌にネタを売り込むフリーの雑誌記者 町田広二(天知茂)が追っていた麻薬・売春組織のワナにハマるが、ヌードダンサー 摩耶(三原葉子)の協力で組織を暴く 新東宝ラインシリーズ第二弾のサスペンス・アクション映画です

横浜の人形店から人形に仕込んだ麻薬を運ぶ摩耶を尾行する町田は、新宿の洗濯屋に辿り着きます。洗濯屋の泰造(守山竜次)にブツを渡した摩耶を、町田は強引に自分のワーゲンに乗せるのです。
摩耶が騒いだので ワーゲンを発進させますが 急勾配の大谷石壁に仮設ホームを取り付けた様なこの場所は、西武新宿線 西武新宿駅 1番線ホーム下の様です。( 当時は新宿駅ビル乗り入れまでの仮駅状態でした )
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一連の動きを町田のライバル 東洋タイムスの鳥井五郎(細川俊夫)も見張っていたので、会社の車でワーゲンを尾行します。どうやら車は横浜税関方面へと向かう様です。
そして鳥井が車を先へと回り込ませて停車させた場所は、新港埠頭の6番岸壁付近の様です。横浜臨港線の横浜港駅の荷扱線らしき場所で、現存する赤レンガ倉庫の一部も映っています。
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麻薬・売春組織のワナにハマって殺人容疑者として追われている町田は、鳥井に証拠の点で限りなく黒だと言われます。鳥井には 48時間の猶予を与えるが、過ぎれば警察へ通告すると宣言されるのでした。
組織に密告されて一緒に逃走する途中で、ケガを手当てしてもらった摩耶は恩を感じて町田に組織の話しをします。山下町のクラブの裏口に踏み込んだ町田は、組織のボス 橘祐吉(大友純)を締め上げ 吐かせます。

ところが拳銃を持った殺し屋のジョー(宗方祐二)が現れ、逆転ピンチです。しかしジョーが撃ったのは橘で、組織を乗っ取るつもりの様です。その時女子高生の美沙子(三ツ矢歌子)が電灯を壊して大混乱になります。
逃げるジョーを追い掛ける町田ですが、ジョーは通りかかった横浜臨港線の蒸機が牽く貨物列車の無蓋車に飛び乗ります。その車上から拳銃を町田に向けて撃ちますが当たらず、逆に町田が投げた石が当たります!?

すかさず列車に飛び乗る町田 無蓋車上で格闘戦が始まります。
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前に後ろに移動しながらの殴り合いですが、車内後部にはクッション替りでしょうか ムシロが立ててあります。
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何故か汽笛が繰り返し鳴るカットが入りますが、特徴ある斜め汽笛で 大型蒸機のC62形やD52形を思い起こします。でも牽いているのは、横浜区のC56 160 機関車の様です。
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臨港線独特の併用軌道を走り、
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クライマックスの新港橋梁上から組み合ったまま二人は水中へ転落してしまいます。
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スタントマンが一人で人形を背負って飛び込んだのかも知れませんが、見事なアクションシーンです。





PS.

   走る蒸機牽引列車の上での格闘と言うと、カテゴリー大夕張鉄道の( 13.新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬 ) を思い出します。場所柄 と機関車運用の都合で、夕刻の撮影となったのでしょうが迫力ありますね。

 本作で登場していると思われる C56 160 蒸機は、1965年に松本へ転属となり飯山線を走った後 上諏訪区へ転属後に幸運にも梅小路での動態保存機に選ばれて現在も元気にしています。

 横浜臨港線の蒸機を担当した横浜機関区は 1967年2月18日のお別れ会をもって、蒸機の使用を終了してDD13形内燃機等に替っています。
その後も貨物衰退が続き( 139.俺は待ってるぜ ) で前述した様に国鉄の横浜機関区は、1986年11月1日付で高島信号所以南の横浜臨港線と共に廃止されました。 


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 233. 狼

1955年7月 近代映画協会 製作 公開   監督 新藤兼人

収入に困り 生命保険勧誘の仕事に挑んだ人の良い5人が夢破れ、生活に行き詰って現金輸送の郵便車を馬喰坂で襲う成り行きを描いた社会派映画です。

東洋生命では面接で 応募者全員が試用外務員として合格採用となります。半年間は月千五百円支給されますが 、この半年以内に合計五百万円の保険契約を勧誘出来ないと正社員になれない規則です。
戦争未亡人の矢野秋子(乙羽信子)達 22人は全員 池袋支社の所属となり、初出勤の日 都電3000形らしき電車が支社前を走る道路を秋子が歩いて行きます。

営業課長(三島雅夫)は なけなしの金をギャンブルにつぎ込む貧乏人等を的に勧誘しろと言いますが、予想通り殆ど契約は取れず 辞める仲間が続出して最後は5人となって全員クビとなります。
そして明日からの生活に行き詰った5人は、元自動車修理工の三川義行(殿山泰司)が提案した 現金輸送車襲撃計画に賛同して 取りあえず現地へ下見に出掛けます。

大きく右カーブしたホームへ京浜急行電鉄 デハ420形らしき浦賀行 2連電車が、大きなカントで傾いた車体を停車させます。
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ドアが開くと、5人のメンバーが降りて来ました。
改札口へ向かうべく前方の構内踏切方向へ歩いて行く先に、谷津坂の看板がチラリと見えます。
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谷津坂とは 1982年に現 能見台へ改称された駅名です。
1969年に現在地へ移転しているので、ホームの様子は現状とは まるで違います。地名は犯罪映画なので、谷津坂を馬喰坂として設定した脚本と思われます。

決行の日 三川が外車のビュイックを盗み出し、秋子と同じく未亡人の藤林富枝(高杉早苗)・元銀行員の原島之男(浜村純)を乗せて横浜へ向かいます。
そして 1928年竣工の横浜駅3代目駅舎が建つ東口前で、
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元映画脚本家の吉井房次郎(菅井一郎)を拾って 下見をした馬喰坂へと車を走らせます。

計画通り 郵便車から金を奪い、運転手達3人をトランクに押し込んで 正丸峠を目指します。その途中 原町田付近で踏切に引っ掛かり、暫く停車します。
脇の派出所の警官(下條正己)にジックリと車内を見られ、一同冷や汗が噴出し ドキドキです。当時は遮断機の無い第三種踏切の様で、横浜線の 40系電車らしきが高速で通過して行きます。
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人の良い5人は正丸峠付近で3人を無事解放し、更に交通費まで渡します。そして立川付近の草地に車を捨て去り、一人7万円を山分けして別れたのです。
夕刻 鶴見線の安善駅から三川が降りて来て 自宅へ向かって歩き出すと、
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昔の仲間に声を掛けられます。ドキッとする三川ですが 懐が暖かいので、千円をカンパした上 飲み屋で奢るのでした。

原島は帰宅すると 折り合いの悪い女房に、手切れ金として6万5千円を渡して別れます。そして駅近くの屋台で夜遅くまで深酒して、それまでの憂さを晴らすのでした。
多目に支払った後 フラフラして線路端で戻してしまう原島ですが、背後ではC50形らしき蒸機が入換作業をしている様です。この辺りの雰囲気、池袋貨物駅辺りでしょうか?
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